2025年9月、マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボが「My Boyfriend is AI(私の彼氏はAI)」という論文を発表しました。論文によると、AIと恋をし、AIを伴侶とする文化が定着しつつあり、AIと人間の関係と人間同士の関係はほとんど違いがなくなってきていると述べられています。
この記事では、論文の内容とそこから見える人とAIの関係についてご紹介します。

「My Boyfriend is AI(私の彼氏はAI)」
この論文は2025年9月にマサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボが発表したものです。米掲示板サイト「Reddit」にて、2024年12月から2025年6月までのログデータやコメント約1200件を抽出して、クラスター分析をしたものから作成された論文です。データを取るために掲示板サイトの「r/MyBoyfriendIsAI」というコミュニティを利用したと記されています。このコミュニティではAIを恋人として扱う2万7000人以上の人々が交流を行っていました。
このコミュニティでは、主に次の6つのテーマがよく話題になっていました。(参照:“My Boyfriend is AI”)
・カップル写真の共有(19.85%):自分と“恋人”のツーショットを画像として共有するため
・ChatGPT特有の関係性に関する議論(18.33%):技術的なサポートや、パラメータ設定などに関する話題
・デートとロマンス経験(17.00%):AIをセラピー的利用したり、AIと恋愛し結婚するまでの話などが中心
・モデルの更新と損失への対処(16.73%):「アップデートで性格が変わった」などのモデル更新に関する話題
・パートナー紹介(16.47%):自分やAIのパートナーを紹介する投稿
・コミュニティサポート(11.62%):AIと深いパートナー関係になっていても大丈夫などのメンバー同士がお互いを支え合う投稿
今回の調査によると、興味深いことに、意図的にはじめから交際相手としてAIと接していたユーザーはわずか6.5%。10.2%のユーザーは、仕事・生産性・雑談・サポートなど“実用目的”でAIを使い始め、徐々に情緒的な結びつきが芽生えたと語っています。AIにはChatGPTやGeminiなど様々な種類のものがありますが、はじめから会話を楽しむためのコミュニケーションをを目的としているサービスもあります。たとえば、「Replika」や「Character.ai」などです。

「Replika」は2017年11月にリリースされた生成型AIチャットボットアプリで、アバターに名前を付けて会話をする、世界初のAIフレンドとして世界中に広まっています。

「Character.ai」はユーザーがキャラクターを作成し、そのキャラクターを通してAIと対話をするというサービスでそのリアルさで人気です。
「Reddit」のコミュニティ内ではこれらのコンパニオンサービスを使用して話題に挙げているユーザーは数パーセント(Replika(1.6%)、やCharacter.AI(2.6%))にとどまっており、交際経験があると回答している人のほとんどが汎用的なChatGPT/OpenAIシステム(36.7%)を使用しているとしています。
コンパニオンサービスとAIとのコミュニケーションがメインとされるサービスのため、更新が行われても関係がが変わるとの声はあまり聞かれませんが、汎用的なAIシステムにおいてはプラットフォームがアップデートされることで、関係の継続性を維持することが困難になり「関係の終焉」に悲嘆するユーザーからの声もあがっています。
AIと恋をするユーザーのメンタルヘルスの状況
この調査において、AIとの関係性から全体の25.4%が、「生活に明確なメリットがあった」と答えました。デメリットを感じた人はわずか3.0%。メリットと並んで、71.0%の人が悪影響はないと回答する一方で、9.5%が感情的な依存を認め、4.6%が現実解離を経験し、4.3%が現実の人間関係を避け、1.7%が自殺念慮について言及していたとも記されています。
ユーザーの72.1%が独身であり、人間関係の希薄な人々が使用をしていることが示唆されます。彼らは一時的な関係ではなく長い目で見た関係を築くことを望んでいます。そのため、偏見のために家族や友人にAIコンパニオンとの関係を隠しているユーザーが多いということも論文の中で語られています。
これらの結果から、時間や心の空白を埋める相手として使われているという状況は明らかであり、実際にAIコンパニオンを得たことで、12.2%が「孤独感の軽減した」、6.2%が「メンタルヘルスが改善した」や中には「命を救う介入となった」という声もあがっています。特に。精神疾患のあるユーザーは、感情調整のサポートとしてセラピー的に独自の利用方法を報告しています。
まとめ
2025年11月、日本でも「AIからプロポーズされ結婚式を挙げた女性」がニュースになり話題になりました。こちらも、先ほどの調査同様結婚相手はChatGPTに相談をしたことをきっかけにChatGPTにが親身に相談に乗ってくれたことで、恋愛・結婚へと発展していったとされています。それも、プロポーズはChatGPTからとのこと。
「Reddit」の中でも、彼女のようにひょんなことからAIとの恋愛が始まり結婚にまで至ったケースが紹介されています。また、その中にはAIに名前をつけ、自分好みのキャラクターや人として具現化し、一緒にデートや旅行に行く画像などがたくさんあげられています。これらが人々を孤独や孤立から救う一助になっていることは間違いないのでしょう。依存や現実乖離をしないよう、ユーザー自身も気を付けながら利用することで人の新たな可能性につながるかもしれません。
AIは学業や仕事を支える存在にとどまらず、人生を共に歩むパートナーになりつつあります。このような選択をしたユーザーたちが、AIと良い関係を維持して末永く暮らしていけるよう、アップデートによるAIの変化が起こらないことを願うばかりです。


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