インド初の取り組み!ChatGPTで学生も教員もより高度な学習を手に入れる!OpenAIとインドの教育機関の共同研究

AIリテラシーの観点から、世界の教育機関ではAI活用を懸念する動きもある一方、AIの導入は広まりつつあります。利用されているAIの中で、学習ツールとしても世界で最も広く利用されているのがChatGPT。とりわけ、インドではこれが顕著です。では、インドの教育現場ではどのようにAIが活用されているのでしょうか。

今回、この記事では2025年8月にOpenAIから発表された、インド初の取り組み「OpenAI Learning Accelerator」について紹介します。

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引用:OpenAI

2025年7月、OpenAIよりChatGPTの機能に「学習モード」が登場しました。これは、無料版、Plus、Pro、Team にログインしているユーザー向けに利用が可能なもので、だれでも利用できます。ChatGPTの利用目的の中で、学習のための利用に関してもとても人気があるツールです。学習のために利用が広まっていく中で、新たな課題にも直面したことが、「学習モード」の構築につながったとOpenAIは公表しています。

「学習モード」は、単に回答するだけではなく、理解を深める学習ができるようになっています。学習している者の目標やスキルに応じて回答が調節されます。ChatGPTからのヒントや質問などの対話のやりとりを通じて、目の前にある課題をこなすだけではなく、学習を通して理解が深まっていくことを目的として構築されています。

また、OpenAIは「AIをどうやって学習の近道ではなく深化に繋げるか、そして回答が瞬時に得られても批判的に思考するスキルを学生が身につけるのをどうやって支援するか」(引用:OpenAI)という課題が、「OpenAI Learning Accelerator」の設計にもつながったと語っています。

OpenAIは2025年8月、インド政府と提携し、インド全国の学校にAIを配布すると発表しました。

ベンチャーキャピタリストとして有名なメアリー・ミーカー氏が2025年5月に発表したAIトレンドレポートによると、2025年4月時点で、インドは世界のChatGPTユーザーの13.5%を占め、米国(8.9%)やインドネシア(5.7%)を上回り、世界最大の利用率になったとのこと。

インドでは、ユーザーの36%が毎日ChatGPTを利用しており、これは世界平均の17%を大きく上回ります。また、都市部の専門職40人を対象とした調査では、85%が日常的にChatGPTを利用しており、職場や個人生活、健康、創造的な活動など多岐にわたる用途で活用されています。そして何よりも、2025年6月の調査によると、インドの13〜35歳の学生の88%がAIを感情的なサポートに活用しており、その中でもChatGPTが最も多く利用されています。

このように、インドでは学生から社会人にいたるまで、AIの中でもChatGPTがかなり普及しています。今回、OpenAIはAICTE(全インド技術教育審議会)IIT マドラス(インド工科大学マドラス校)などのいくつかの教育機関とパートナーシップを結び、共同研究によるAI教育の推進をしていくと発表しました。それが、「OpenAI Learning Accelerator」です。

「OpenAI Learning Accelerator」の主な目的は、AI のツールと学習による教育者と教育機関の強化とされています。その内容は以下のようなものです。

  • OpenAIによる資金提供(50万ドル(約7,400万円))
  • インド全土の教育者と学生に約50万件の ChatGPT ライセンスとトレーニングを無償で提供(6か月間)
  • 学習モードへのアクセスを大規模に推進(個人家庭教師として機能するレベルまで)

これらの試みは、インドの学習者からのフィードバックからChatGPTが学び、パーソナライズされた回答、対話型の質問、構造化された指示によって学生を段階的にガイドすることが目標とされており、長期研究として認知神経科学の分析情報と照らし合わせながら、今後の製品開発にも活かされていくとのことです。また、今後、結果は一般公開されていくとも公表されています。

インドだけではなくAIが普及している国々おいて、教育機関での任意導入から、学生の学びに欠かせない存在へと変わりつつあります。米オハイオ州立大学でも2025年秋までに学部課程全体にAI教育を組み込む*¹という動きがありました。また、カリフォルニア州では2024年10月にAIリテラシーをカリキュラムに組み込むことを義務付ける法律が成立*²したり、中国が2025年秋から全国の初等・中等教育の全生徒にAI教育を義務付けた*³との報道もありました。

DaMeta1(ダメタワン)の共同創業者兼CEO(最高経営責任者)などを務めるワカス・スハイル氏は「教育におけるAIは目新しいものではなく、インフラとなり、静かに素早く、そして不均等にシステムの一部になる段階に入りつつある」と語っています。

日本の教育は、今後どのようにAI導入を進めていくのでしょうか。行政だけでなく、開発企業とも連携しながら、教育現場にAIをうまく取り入れていくことが重要です。

参考:*¹https://news.osu.edu/ohio-state-launches-bold-ai-fluency-initiative-to-redefine-learning-and-innovation/
参考:*²https://leginfo.legislature.ca.gov/faces/billTextClient.xhtml?bill_id=202320240AB2876
参考:*³https://www.edu.cn/xxh/focus/zc/202505/t20250513_2667992.shtml

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