DNP:100人のペルソナモニターから実際の生活者の欲求や感情などの深層心理を把握

「印刷会社」にとどまらない多角的事業を展開する大手企業DNP(Dai Nippon Printing)が2025年6月、DNP生成AIマーケティングサービスとして「ペルソナインサイト」の提供を開始しました。仮想生活者から実際の生活者の深層心理を把握するとはどういったことなのでしょうか。

この記事では、DNPが開発した「ペルソナインサイト」についてご紹介します。

引用:DNP
目次

DNPはいったいどんな企業?

DNPは印刷会社として有名ですが、それだけにとどまらず「P&I」というを活かした事業ビジョンを持っています。「P&I」とは、Printing & Informationのことで印刷技術と情報技術を融合させ、従来の事業領域を超えて、デジタルインターフェース、半導体、メディカル、XRコンテンツ、パッケージング、建材など、多岐にわたる分野で革新的な製品・サービスを生み出し、社会課題の解決に取り組むことです。P(Printing)は単なる紙の印刷にとどまらず、DNPが長年培ってきた高い印刷技術全般を指し、I(Information)は情報技術を駆使し、デジタルコンテンツの提供や情報発信などを意味します。P&Iの取り組みは、未来のあたりまえを創造し、製品やサービスが人々の生活に「あたりまえ」のように存在することを目指し、社会課題の解決と豊かな暮らしの実現に貢献しています。 

引用:DNP

DNPが開発する生成AIマーケティングサービスとは?

生成AIマーケティングサービス「ペルソナインサイト」はDNPが独自の追加学習技術で創り出した仮想生活者と対話が
できる、マーケティングリサーチプラットフォームのことです。市場の急速な変化や価値観の多様化が進む中で、従来
の調査手法だけでは生活者の隠れたニーズや深層心理を知ることは難しくなってきました。また、実際の生活者に聞き
取り調査などを行っても生活者が上手く言葉にできなかったり、モニター調査はコストと時間を要することが多いとい
うのが実情で課題でした。しかし、統計的な情報と生成AIとを使ってペルソナを作ることで隠れた本音の部分を言語化
し、効率よく調査を行うことができます。

統計データは主に総務省の統計データに基づき、日本人の年齢·性別·職業·健康状態·価値観の分布を反映したもの
を利用しています。また、そこにDNP独自のデータを加えることで、実際の生活者の現状を忠実に再現したペルソナを生成することが可能になります。生成したペルソナとはチャット形式で会話をし、仮想生活者であるペルソナからより深く・詳しい内容のデータを取り、製品の開発に役立てています。

DNPではペルソナインサイトの特徴を以下のように紹介しています。(以下、DNP公式サイトより引用)

データにもとづく生活者思考の再現
国の統計データやDNP独自データを活用し、現代日本の生活者実態を反映。DNP独自のAI追加学習技術で、単なる属性だけでなく、思考パターンや価値観まで再現したペルソナと対話できます。これにより、実際の生活者のような具体的な悩みや話しぶりと高い言語化能力を両立したインサイトが得られます。

選べる2種類のペルソナ ―共通ペルソナとカスタムペルソナ―
現代日本の統計分布を再現した「日本の縮図となる100人の共通ペルソナ」と、貴社データやターゲット像から作成する「カスタムペルソナ」をご用意。幅広い生活者から特定のターゲットまで、目的に合わせてリサーチすることが可能です。*カスタムペルソナの作成は有償の追加オプションです。

商品比較やデザインへの具体的なフィードバック
商品画像や商品説明文、広告クリエイティブ、パッケージデザインなどをインプットし、ペルソナに具体的な印象や意見を聞いたり、複数の媒体を比較させたりする ことができます。

簡単操作&安心のセキュリティ
専門知識は不要。直感的なチャット形式で誰でも簡単に使えます。企業ごとの専用環境構築とDNPの情報セキュリティ規定にもとづく開発・運用で、安心してご利用いただけます。

これらの特徴を見る限り、DNPの生成AIマーケティングサービスにはまさに「P&I」の技術や知識が活かされているといってもいいでしょう。これらの技術で作られるそれぞれのペルソナを導入することでどのような効果が得られるのでしょう。

□DNPのペルソナインサイトを導入するには?
DNPの生成AIマーケティングサービスはコンセプト立案からデザイン評価まで幅広いマーケティング活動で活用することができます。このサービスを利用するためには以下のような手順で導入が可能です。(引用:DNP)

引用:DNP

カスタムペルソナの作成は有償の追加オプションですが、それぞれの企業が保有する調査データを元に企業に合った形でペルソナを構築することも可能です。

導入における効果
社内に眠っている情報資産を有効活用すると同時に、時間と手間のかかる調査業務を合理的に行うことができるようになります。また、未顧客、高齢者、在日外国人などこれまでにリサーチしずらかった顧客に対しても調査を行うことが可能になります。これらは、新たな層の隠れたニーズの獲得や既存の顧客の深層心理を知るための効率的な調査手法となり得ます。調査から得られた情報を基に新たな商品の開発やサービスの提供ができるようになることは間違いないでしょう。

今回は、DNPの生成AIマーケティングサービス、ペルソナインサイトをご紹介しました。「ペルソナ × マーケティング」の組み合わさったマーケティングサービスはほかにもいくつかありますが、情報・技術ともに十分な経験値を持った大手企業であるDNPの作り出すサービスは、ほかに引け劣らないものであることは間違いありません。自社で抱える顧客へのサービスや商品開発の行き詰まり感などを感じているようであれば、顧客の深層心理を探るべく、新たな技術を導入してみるのも悪くないかもしれません。

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