各企業は手作業の削減、そして人手不足による業務の停滞の軽減を目指し、生成AIに積極的に投資を行ってきた結果、過去10年程で様々な企業においてAIによる業務の自動化が進んできました。自動化による組織の業務効率化は組織内において効率化をする以上にどのような結果をもたらしたのでしょうか。それは必ずしもプラスになることだけではないのかもしれません。そして2026年、人間はAIとどのような関係を築いていくのでしょうか。
この記事では、これまでの生成AI活用を振り返りながらこれからの生成AI活用について紹介していきます。

2026年はAIと人との関係が変わる年
2026年にAIが「ツール」から「パートナー」へと進化するというトレンドについて、MicrosoftやAI業界の複数の専門機関が言及しています。各専門機関の言及について、詳しく見ていきましょう。
▣Microsoft の CEO サティア・ナデラ氏(Satya Nadella)
AI should empower humans, not replace them.
(AI は人間を置き換えるものではなく、人間の能力を引き出し、拡張するためのものだ。)
ナデラ氏は2025年の年末メッセージにおいて、上記のように語っています。これは、人間の役割を奪うのではなく、AI にルーチンや大規模データ処理を任せる一方で、人間は判断・創造・価値形成の役割をより重視するといった意味合いがあるようです。また、同年末に開設した個人ブログの中では今後のAIの展望について、スティーブ・ジョブス氏の“bicycles for the mind” (自転車が人間の身体能力を何倍にも高めるように、コンピュータは人間の知性を何倍にも拡張する道具だ)という意味の言葉を引用しながら、AIは人間を超えるためのものではない・人間の能力を拡張する“知性の自転車”であるべきといった内容も語りました。
▣AI Asia Pacific Institute:共生AIの研究
このアプローチは、AIの最も強力な応用は完全に自律したシステムではなく、むしろ人間と機械が効果的に協力し合う“パートナーシップ”を生み出すものだという考えに基づいています。
こうしたパートナーシップは、人間だけでもAIだけでも解決できない課題に取り組む可能性を広げてくれます。
アジア太平洋地域を中心に AI の発展やガバナンスのあり方を研究・提言しているAPI(AI Asia Pacific Institute)では共生AIというものの研究が行われています。この研究の報告において「人間とAIの協働の未来」の中で上記のように未来のAIの姿が語られています。
▣Microsoftの3,750万件以上の会話データ分析によるCopilotの位置づけ
Microsoftが2025年の締めくくりに行った、3,750 万件の会話サンプルを分析した結果、Copilotは単なるツールではなく「デジタル思考パートナー」として機能しており、医療、仕事、人間関係のアドバイスなど、あらゆる文脈で使用されていることが明らかになりました。ビジネスにおける視点でAIの利用というものがみられることが大半ですが、この分析においては、仕事の身に関わらず人の【生活】部分にAIがすでに溶け込んでいることが見て取れます。それはゲームなどの嗜好品といったものだけにとどまらず、人の相談相手や雑談相手としてもAIが存在しているということです。
なぜ「AI活用からAI共生へ」シフトしているのか
AIが単なるルーチンやデータ処理を任せる段階から、多種多様な分野や業種・業務に応用されるようになってきた昨今、人がAIに求めることが大きく変わってきています。それは、単なる処理作業のみならず、仮説を出したり、文脈を読んだり、選択肢を広げたりといったことをAIに求めるようになってきたためです。
最適解よりも、納得解・文脈解が求められる分野である医療、教育、経営、政策、クリエイティブなどの分野にも速いスピードでAIは介入していっています。AI単独では判断できず、また人間も単独では情報が足りないため、その点を相互に補い合いながら一つの物事に取り組むことができるといった点で、AIとの関係を「共生」と捉えることができるでしょう。
単純に「使う」ということから、「一緒に考える」ことができるAIは私たちの創造の世界を広げ、一人一人の可能性を広げる手助けをしてくれます。
まとめ
ビジネスにおいても社会制度においても人ひとりの個人においても、AIは効率化のための道具から、人間の思考を拡張する存在へと役割が変わりつつあります。AIを取り入れるうえで、複雑で正解のない課題が増える中、AIを「使う」よりも「共に考える」関係性が求められ始めており、生成AIを開発している各企業や研究を行っている専門機関はもとより、実際に事業に導入している企業・組織・個人のレベルにおいても、実装してきたこの数年間を経て2026年という年がAIと人との関係性の過渡期となることは間違いないようです。


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