テレワークのさぼり実態と対策完全ガイド

テレワーク中についスマホを見たり、家事や昼寝をしてしまう──そんな「テレワークのさぼり」がどこまで許されるのか、不安に感じていませんか?

一方で、管理者側も「本当に働いているのか」「どこまで監視していいのか」と悩みが尽きません。

本記事では、統計データや実際にバレた事例をもとに、さぼりの実態とバレる仕組み、就業規則上の判定基準とグレーゾーン、さらに管理者・従業員それぞれの具体的な対策やツール選びまでを分かりやすく解説します!

目次

テレワークのさぼり実態【最新調査データと割合】

テレワーク実施者の半数以上が何らかの業務外行動を経験。ただし、生産性が必ずしも低下しているわけではないことが調査から判明しています。

テレワークでは「さぼりやすい」「つい集中が切れる」と感じる人が多く、実際どの程度起きているのかを数字で確かめたい人は少なくありません。

ここでは最新の調査データから、さぼりの割合や時間、傾向を客観的に整理します。

統計データで見ると、感覚と実態にはかなりギャップがあることが分かるんです!

さぼりは本当に増えている?統計から見る真実

まずは「テレワークでさぼる人は本当に増えたのか?」という疑問に、複数の調査データで答えていきます。

さぼった経験の有無だけでなく、テレワーク導入前後の生産性や、出社時との比較も含めて見ることで、感覚ではなく数字で実態を把握できます。

日本全体で見ると、テレワークをしている人自体は2〜3割前後にとどまっています。

国土交通省の「テレワーク人口実態調査」では、雇用者で直近1年間にテレワークを実施した人の割合は16.1%、何らかの形でテレワークを経験したことがある人は24.8%という結果でした。

企業側の導入状況を見ると、総務省「情報通信白書」をもとにした各社のまとめでは、企業のテレワーク導入率は2019年の約20%から、2020年には47.5%まで急増し、その後も2021〜2023年は約50%前後で推移しています。

一方で、日本生産性本部の「働く人の意識調査」によると、実際にテレワークを利用している雇用者の割合は2024年時点で16.3%と、コロナ禍のピークよりは低い水準で横ばいが続いています。

導入率と利用率には大きな差があるんですね。制度はあっても使われていないケースも多いということです。

では、その中で「さぼり」はどの程度起きているのでしょうか。

人材・HR系メディアがまとめた調査では、在宅勤務中に業務以外のことをした経験が「ある」と答えた人は半数を超えています。

たとえばHRプロが2021年に行った調査では、「在宅勤務中に業務以外のことをした」人は全体の過半数で、その内訳として「YouTube等の動画視聴」「ゲーム・漫画・読書」「外出」などが上位に挙がりました。

さらに、転職系メディアが紹介しているJob総研の調査では、「テレワーク中にさぼったことがある」と答えた人は65.4%に達します。

具体的なさぼり内容としては「休憩を長く取る」「ネットサーフィン」「動画視聴・スマホゲーム」などが多く、いずれも「つい手が伸びやすい軽めの行動」であることが分かります。

別の調査では「テレワーク中にさぼったことがある」と回答した人が約8割に達し、そのうち2時間以上さぼる人も一定数いるという結果も報告されています。

また、同調査では「出社よりテレワークの方が生産性が下がる」と感じる人も6割程度に上っており、「さぼりやすさ」と「生産性低下の実感」が重なっていることがうかがえます。

ただし、「さぼり=生産性が必ずしも大きく落ちる」とは言い切れません。

日本生産性本部総務省の分析では、テレワークにより通勤時間が削減されることで、仕事とは直接関係しない活動(家事や運動、自己学習など)に時間を振り向けつつ、全体としての成果は維持・向上しているケースもあると指摘されています。

海外の研究でも、在宅勤務により「協働時間はやや減るが、集中して作業できる時間は増える」といった結果が報告されており、単純な「さぼり増加=悪」という構図では語れないことが分かります。

通勤時間がなくなった分を有効活用できれば、トータルでは生産性が上がることもあるんですね。

統計から見たさぼりの実態

テレワーク実施者の半数〜8割が何らかの業務外行動をしている

多くは「長めの休憩」「ネットや動画」「軽い家事」などライトな行動

通勤時間削減により全体成果が維持・向上している層も存在

「さぼり」が即、生産性の大幅低下に直結するわけではない

つまり、「さぼり行為」そのものは確かに増えていますが、必ずしもそれが即、生産性の大幅な低下や不真面目さに直結しているわけではない、というのが統計から見える現実です。

テレワーク中に何してる?さぼり実態TOP10

「さぼっていると言っても、実際には何をしているのか?」は多くの人が気になるポイントです。

ここでは複数の調査をもとに、テレワーク中に行われている代表的なさぼり行動をランキング形式で整理し、平均時間や頻度の傾向もあわせて紹介します。

在宅勤務中の「業務外行動」は、いくつかの調査でほぼ共通した傾向が見られます。

以下は、HRプロやJob総研、文具メーカー・コクヨなどの調査結果を統合した「さぼり行動の代表パターン」です。

複数の調査で共通している項目を見ると、リアルな実態が浮かび上がってきます!

順位さぼり内容の例主な根拠となる調査の傾向
1位休憩をいつもより長く取るJob総研調査で「休憩を長く取る」がトップ(約6割)。昼寝やダラダラ休憩も含まれる。
2位ネットサーフィン・ニュース閲覧・SNS同じくJob総研調査で「ネットサーフィン」が5割超。ニュースサイトやX(旧Twitter)なども含む。
3位動画視聴(YouTube・サブスク配信)HRプロ調査で「YouTube等の動画閲覧」が20.67%で1位。
4位家事(洗濯・掃除・料理など)コクヨの調査では在宅勤務中に「料理」「洗濯」「掃除」などの家事を行う人が多数。
5位外出(散歩・コンビニ・カフェなど)HRプロ調査で「外出」が15%。
6位ゲーム・漫画・読書同じくHRプロ調査で「ゲーム・漫画・読書等」が15.67%。
7位子どもの世話・介護・ペットの相手在宅勤務者の余剰時間の使い方として、NRIの調査で「家族との時間」「子育て」「散歩」などが増えていると報告。
8位副業や資格勉強などの自己投資HRプロ調査では、在宅勤務中に副業など自社以外の仕事をした経験がある人が24%。
9位運動・ストレッチ・筋トレ自宅周辺での「散歩」「スポーツ・フィットネス」が在宅勤務者の余剰時間の使い道として多いと報告。
10位家族・友人とのチャットや電話各種調査の自由回答やSNS投稿で、家族と話したり、友人とメッセージのやり取りをする声が多数。

これらの行動の多くは、「完全に仕事から離れる長時間のさぼり」というよりも、短時間のちょこっと行動として行われているケースが目立ちます。

Adobeの調査では、テレワーカーの約8割が「ちょい抜けワーク(勤務時間中に家事や子どもの送迎などで一時的に席を外す働き方)」を経験しており、その多くが「勤務先に受け入れられている」と感じているという結果も出ています。

「1日何時間くらいさぼるのか?」については、調査によってばらつきがありますが、30分〜1時間未満程度にとどまる人がボリュームゾーンという結果が多く、長時間まるごと仕事を放棄しているケースはむしろ少数派です。

「2時間以上さぼる」という極端なケースより、「10〜30分のちょい抜け」が実態に近いんですね。

こうした実態を見ると、「まったくさぼらない前提」よりも、「短いさぼりや家事をどう許容しつつ、成果を出すか」を設計する方が現実的だと分かります。

📝 さぼり時間の実態

多くの調査で共通しているのは、「ガチのさぼり」より「軽めのちょい抜け」が主流であるということ。家事やリフレッシュを織り込んだ働き方が、テレワークの実態です。

業種別・職種別のさぼり傾向【データで見る違い】

同じテレワークでも、業種や職種、企業規模、年代によってさぼりの発生率や感じ方は大きく異なります。

ここでは、国内の主要な調査結果をもとに、どの層でさぼりが起きやすいのか、どの層で生産性低下が問題になりやすいのかを整理し、自社や自分の立ち位置をイメージできるようにします。

まず前提として、「さぼりが議論になるほどテレワークをしている層」は、オフィスワーカー中心です。

国土交通省のテレワーク人口実態調査では、雇用型テレワーカーのうち業種別のテレワーカー割合が最も高いのは「情報通信業」で72.8%、次いで「学術研究・専門・技術サービス業」が54.5%とされています。

一方で、「医療・福祉」は5.8%、「宿泊業・飲食業」は6.3%と低く、そもそもテレワークをしづらい業種では「在宅でさぼる」機会自体が少ないことが分かります。

業種によって「さぼり問題」が発生する土壌自体が全く違うんですね!

総務省の調査をもとにした業界別テレワーク実施率のまとめでも、情報通信業(55.7%)、学術研究・専門サービス業(43.2%)、金融・保険業(30.2%)が高く、運輸業や宿泊・飲食、医療・介護などでは1ケタ台にとどまっています。

また、クラウド人事サービス企業の調査では、リモートワーク実施率が最も高い業種は「IT・インターネット」で58%、次いで「マスコミ・広告」「通信・インフラ」が続いており、いわゆるホワイトカラーの比率が高い業界に偏っていることが示されています。

企業規模の差も無視できません。日本生産性本部の調査によると、テレワーク実施率は「従業員100人以下の企業」で10.9%、「101〜1,000人」で17.7%、「1,001人以上」で26.7%と、大企業ほどテレワークが行われやすい傾向があります。

結果として、「テレワーク中のさぼり問題」が表面化しやすいのは、大企業×オフィスワーカー×IT・専門職中心の業界であると言えます。

年代差にも特徴があります。

総務省データを引用した人事コンサル企業の分析では、テレワーク利用率は20代が35.1%と最も高く、若い世代ほどテレワークを積極的に利用し、「必要としていない」と回答する割合も低いことが指摘されています。

若年層はデジタルツールへの適応が早く、生産性を維持しつつ「さぼり」やプライベート行動も器用に織り込む傾向がある一方で、中高年層では「管理が難しい」「自己管理に不安」といった声も多く、同じテレワーク環境でもストレスや罪悪感の感じ方に差が出やすい層と言えるでしょう。

世代によって「さぼり」への心理的ハードルが違うのも興味深いポイントです!

データから見える傾向

さぼり議論の主戦場はホワイトカラー業界

現場系・対人サービス系は「さぼる以前にテレワークが難しい」

若年層ほどテレワーク志向が強く、ハイブリッド勤務を希望する声が多い

自社・自部門の業種や規模、年代構成を踏まえると、「どの程度のさぼりが起こりうるのか」「どのくらい管理やルールが必要か」の目安を立てやすくなります。

なんJや掲示板で語られるさぼりのリアル

統計データだけでは見えない「本音」は、なんJや5ch、SNSなどの掲示板に多く現れます。

ここでは実際のスレッドで語られているエピソードや雰囲気をもとに、テレワーク中のさぼりがどのように正当化され、どんな罪悪感や不安とセットになっているのかを整理します。

匿名掲示板のスレッドを眺めると、「テレワーク中にゲームしてたら1日終わった」「朝だけ仕事して午後はアニメ三昧」など、かなり極端な自慢系の投稿も多く見られます。

一方で、「みんなこんなにさぼってるって書いてるけど、本当は怖くてそこまで出来ない」「上司がいつログ見てるか分からないから、ブラウザ閉じるの早くなった」など、半分冗談・半分本気の「ビビりながらのさぼり」も少なくありません。

掲示板の書き込みは極端に見えますが、実は不安や罪悪感とセットになっているケースが多いんです。

また、「テレワークでさぼってるのって自分だけじゃないよね?」という安心を求めるような書き込みも非常に多く、「みんなさぼってるなら、自分も少しくらい…」という同調圧力型の正当化が起きていることが分かります。

これは、検索心理で挙げた「罪悪感の緩和」というニーズとぴったり重なります。

同時に、「マウス動かす装置買った」「Zoomは背景オン+カメラオフで寝てたら、通知でバレかけた」など、監視をかいくぐろうとする工夫や失敗談も多数共有されています。

ただし、こうした投稿には「それ普通に懲戒案件では」「ログ見られたら一発アウトだぞ」といったツッコミも多く、コミュニティ内での自浄的なブレーキも働いているのが特徴です。

📝 掲示板から見える心理

  • 「全くさぼらない人」はむしろ少数派で、軽いネット閲覧や家事は「やっていて当たり前」という空気がある
  • 一方で、「ガチのさぼり(長時間ゲーム・外出など)」は、本人も「さすがにまずい」と自覚しているケースが多い
  • 監視ツールやログがどこまで見られているか分からないため、「バレるかも…」という不安と常にセットになっている
  • 罪悪感を薄めるために、「みんなやってる」「会社も通勤時間分は得してるはず」といった理屈が多用される

管理者側から見ると、こうした「ネット上の空気」は、部下がどこまでなら自分を正当化しやすいのかを知るうえで重要なヒントになります。

逆に従業員側としては、「掲示板のノリ」を現実の職場に持ち込むと、思った以上にリスクが大きいことを冷静に理解しておく必要があります。

匿名の書き込みと現実のリスクは全く別物。ネットのノリに流されないことが大切ですね!

テレワークのさぼりがバレる理由と実例

テレワーク中のさぼりは、PC操作ログ、勤怠データ、通信履歴など複数のデータから発覚します。マウス操作ツールなどの小細工は、かえって疑惑を強めるリスクがあります。

テレワーク中のさぼりは、単なる「なんとなくバレた」ではなく、PC操作ログや勤怠データ、コミュニケーション履歴など、さまざまなデータの積み重ねから発覚します。

ここでは、バレる仕組みと実際のケースからリスクを具体的に整理します。

「何となく大丈夫」という感覚が最も危険。実はログは全て記録されているんです。

さぼりがバレる5つの仕組み

テレワーク中のさぼりは、感覚ではなく「ログ」と「痕跡」から見抜かれます。

企業は、業務時間の把握や情報漏えい対策のためにPC監視ツールや勤怠システムを導入しており、その機能が結果的にさぼり発見にもつながります。

ここでは代表的な仕組みを5つに整理します。

📝 勤怠・打刻とログイン履歴の不整合

多くの企業では、勤怠管理システムの打刻データに加えて、PCの起動・終了時刻や業務システムへのログイン履歴を取得し、労働時間の管理に用いています。

打刻上は「勤務中」なのにPCが長時間起動していない、ログインがない、あるいは逆にPCは動いているのに勤怠上は退勤になっている、といった不整合が続くと、「中抜け」や「サービス残業」の疑いとしてチェックされやすくなります。

打刻だけ済ませてPCを起動していないパターン、意外とバレやすいんです!

📝 PC操作ログ(アプリ・キーボード・マウス)の記録

PC監視ツールでは、アプリケーションごとの利用状況やソフトウェアの使用時間、キーボード打鍵回数・マウスクリック回数などの操作ログを取得できます。

一日の大半が動画サイトやゲームアプリになっている、就業時間帯のほとんどで打鍵がゼロに近い、といった極端なパターンは、業務実態と照らして「さぼり」や職務専念義務違反のシグナルになりやすいポイントです。

📝 画面キャプチャ・画面録画による可視化

一部のモニタリングソフトでは、数秒〜数十秒ごとにPC画面を自動キャプチャしたり、操作履歴を動画のように録画したりする機能が提供されています。

たとえば「LOOOC」などのツールは、3秒に1回の画面キャプチャで操作履歴を再現できると案内しています。

これにより、業務システムではなく動画サイトやSNS、ゲーム画面が長時間表示されている様子が可視化され、本人に自覚がなくても「証拠」として残ってしまうケースがあります。

画面キャプチャ機能を持つツールでは、何の画面を開いていたかが一目瞭然。言い逃れができない証拠となります。

📝 通信ログ・Webアクセス履歴の分析

社内ネットワークやVPN経由の通信は、アクセス先URLや通信量をログとして記録されることが多く、情報漏えい対策とあわせて、勤務時間中の過度な私的利用の発見にもつながります。

特に、アダルトサイトやギャンブルサイトなど「業務とは明らかに無関係なサイト」への頻繁なアクセスは、法務・人事が問題視しやすい領域です。

📝 成果物・コミュニケーションとAIによる行動分析

近年は、プロジェクト管理ツール上のタスク消化状況やチャット・メールの送受信パターンなどを時系列・統計的に分析し、「通常と比べて明らかにパフォーマンスが落ちている」「一定時間だけ極端に動きがない」といった異常を可視化するサービスも登場しています。

これらは直接「さぼり」を断定するものではありませんが、AIによるスコアリングと組み合わせることで、上長のフォロー対象者を絞り込む目的でも活用されはじめています。

AIが行動パターンの変化を検知する時代。「いつもと違う」動きは自動で浮かび上がります。

こうした仕組みは、本来は労働時間の適正把握や情報セキュリティのために導入されるものですが、「職務専念義務に反する行動」が続くと、その副産物としてさぼりが浮かび上がる構造になっています。

実際にバレた事例7選【失敗から学ぶ】

ここでは、裁判例や専門家解説で触れられている事例、テレワークのさぼり対応を扱った実務資料をもとに、「どんな行動がきっかけで発覚し、どのような対応・処分につながったのか」を類型化して紹介します。

個々の事案は事情が異なるため、あくまで「こういうパターンは危ない」という目安として捉えてください。

STEP
長時間の私的Web閲覧がログから判明

ある自治体では、勤務時間中に業務に関係のないWebサイトを延べ114時間閲覧していた職員について問題になった事例が報じられています。

会社所有PCでのWeb閲覧ログは詳細に残るため、「休憩の範囲」を明らかに超える長時間の私的閲覧は、後からまとめて発覚しやすい典型例です。

STEP
出会い系サイト利用と大量の私用メール

厚生労働省の「会社物品の私的使用」に関する資料では、勤務時間中に職場のPCから出会い系サイトに登録し、大量の私用メールを送受信していた教師に対する懲戒解雇の有効性が争われた事案が紹介されています。

裁判では、就業時間中の職務専念義務違反や公序良俗上の問題が重く見られ、「単なる一時的な私的利用」とは異なる評価がなされています。

STEP
勤務時間中の過度な私用メール・ネットショッピング

労働問題専門の弁護士による解説では、勤務時間中に恋人あてのメールやネットショッピングを繰り返した従業員に対し、注意を受けても改めずに続けた結果、懲戒処分の対象となりうると説明されています。

一方で、裁判例では、私用メール1通だけを理由とする懲戒解雇は無効とされたケースもあり、回数・内容・業務への影響が処分の重さを左右することが分かります。

STEP
在宅勤務中の「無断中抜け」が繰り返されるケース

在宅勤務中に無断で外出したり、業務時間中に席を外す「中抜け」が繰り返される場合、在宅勤務の許可取消しやけん責などの懲戒処分を検討すべきとする実務向け文例集も公表されています。

単発の中抜けであれば注意指導にとどまることが多いものの、改善指導後も繰り返されれば、処分やテレワーク制度の利用制限につながり得ます。

STEP
会社非公認のワーケーション・旅行先からのテレワーク

労務専門誌「労政時報」では、「就業規則上、勤務場所を自宅や会社が認めた場所に限定している企業」で、社員が旅行先からテレワークをしていたケースについて、職務専念義務違反として懲戒処分が検討されるとの解説がされています。

仕事自体をしていたとしても、「許可された勤務場所のルール違反」が問題化するパターンです。

STEP
テレワーク中の長時間ゲーム・動画視聴

テレワーク中のさぼり対応を解説したコラムでは、ゲームや動画視聴など業務に無関係な行為が長時間に及び、業務の進行に支障を与えた場合には、減給等の懲戒処分も検討可能とされています。

STEP
SNS上の不適切投稿や社内チャットのログから発覚

在宅勤務者に対する出社命令が争点となった裁判例では、Slackのダイレクトメッセージ上での投稿内容が会社に把握され、それを契機に懲戒処分が行われた例が紹介されています。

これは典型的な「さぼり」ではありませんが、オンライン上の発言や態度もログとして残り、処分のきっかけになり得ることを示す事例です。

一回だけなら注意で済むことも、繰り返すと処分対象になる。ここが重要なポイントです!

処分に至る要素

長時間・大量の私的利用

業務への明確な支障

注意指導後も改善しない継続的な違反

これらのケースから分かるのは、「一度の軽い私用利用=即解雇」ではない一方で、上記の要素が重なると、テレワークであっても懲戒処分の対象になり得る、ということです。

ログ監視・行動分析で見られているポイント

「どこまで見られているのか?」は、従業員側にとって非常に気になるポイントです。

PCログ監視や業務可視化ツールの機能紹介、ベンダーや専門メディアの解説から、企業が実際にチェックしやすいポイントを整理してみます。

監視項目チェック内容
PCの起動・終了とログオン・ログオフ時刻PC監視ツールや勤怠管理システムでは、PCの起動・終了、ログオン・ログオフの時刻が基本ログとして取得されます。これにより、「打刻上は勤務中なのに、長時間PCが起動していない」「深夜に不自然なログインが続いている」といった異常が把握されます。
アプリケーション・ウィンドウごとの利用状況IT資産管理・ログ管理ツールでは、どのソフトをどれくらいの時間使用したか、アプリケーションやウィンドウ単位で記録できます。業務システムではなく動画サイトやゲーム、SNSの利用時間が就業時間の大半を占めていれば、「職務専念義務違反の疑い」として浮かび上がりやすくなります。
キーボード・マウス操作の有無と頻度一部ツールは、キーボードの打鍵回数やマウスクリック回数も取得し、実際に操作されているかどうかを確認できます。長時間PCが起動しているのに入力・操作がほとんどない場合、「在席しているフリだけしている」可能性を疑われることがあります。
画面キャプチャ・画面共有の内容画面キャプチャ型のツールや、F-Chair+のように画面のサムネイルを一覧表示できるツールでは、「今どの画面で作業しているか」が一目で分かるようになっています。通常業務とは明らかに関係のない画面が長時間続けば、上長が声をかけるきっかけになりやすいポイントです。
Webアクセスログ・プロキシの記録ネットワーク機器やクラウドプロキシのログから、どのURLにどれくらいアクセスしているかが分かります。特に情報漏えいリスクの高いサイトや、明らかに業務外のサイトへのアクセスは、セキュリティと勤務態度の両面からチェックされることがあります。
勤怠・成果・ログを組み合わせた「行動パターン」Money Forwardや各種人事労務サイトでは、テレワーク就業規則において「職務専念義務」を明記する重要性が指摘されており、その上で、日々の業務報告や成果提出とログデータを組み合わせて運用することが推奨されています。つまり、単一のログではなく、「勤怠」「PC操作」「成果物」「コミュニケーション」の複数データを総合的に見て判断する流れが強まっています。

AIや機械学習を組み合わせたツールでは、こうしたログの変化から「普段と違う行動パターン」を自動検知することも可能になっており、極端なさぼりは以前よりも見つかりやすい環境になりつつあります。

マウス操作ツールはバレる?監視システムの実態

「マウスを自動で動かすツールや装置を使えば、在席しているように見せられるのでは?」という発想は、掲示板やSNSでも度々話題になります。

しかし、法的・技術的な観点から見ると、こうしたツールに頼るのはリスクが高く、結果的にさぼりを深刻化させる危険があります。

まず、PC監視ツール側から見ると、単にマウスが動いているかどうかだけを見ているわけではないという点が重要です。

起動・ログオン履歴、アプリ利用時間、キーボード入力、画面キャプチャ、Webアクセスログなど、多数のデータを組み合わせて稼働状況を把握します。

そのため、マウスだけが不自然に動いている状態(キーボード入力がほとんどない、画面も切り替わらない等)は、むしろ異常値として目立つ可能性があります。

マウスだけ動いて、キーボード入力ゼロ、画面も変わらない…これ、完全に不自然ですよね!

また、労務・法務の専門サイトや弁護士の解説では、会社から貸与されたPCを私的に利用して職務専念義務に違反していると疑われる場合には、PCのログや画面の確認が法的に許されることが示されています。

つまり、「マウスツールでごまかしている」ことが発覚した場合、単なるさぼりにとどまらず、会社の信頼を裏切る行為として評価され、処分が重くなるリスクもあります。

さらに、個人情報保護委員会のFAQでは、従業員を対象とするモニタリングを行う際には、目的や内容をあらかじめ周知し、必要な範囲で実施することが求められています。

企業側が適切なルール整備と説明をしている場合、「監視されていることを知りながら、意図的にログを偽装しようとした」と見なされれば、信頼関係の破壊として評価されても不思議ではありません。

マウス操作ツールのリスク

監視を完全にごまかす魔法の道具ではない

ログの不自然さから、かえって疑惑を強めるリスクがある

発覚した場合、さぼり+信頼毀損として、処分が重くなり得る

テレワークでの働き方を考えるうえでは、「いかにバレずにさぼるか」ではなく、「どこまでの柔軟さをルールとして認めるか」「成果で評価する仕組みをどう作るか」といった建設的な方向に議論を進めることが重要です。

テレワークの「さぼり」判定基準とグレーゾーン

テレワーク中の「さぼり」は感覚ではなく、労働基準法・労働契約法と就業規則で判断されます。職務専念義務違反の境界線を理解し、自社のルールを確認することが重要です。

テレワーク中の行動がどこから「さぼり」になるかは、感覚ではなく法律と就業規則で決まります。

この章では、基本ルールとグレーゾーンの線引きを整理します。

「これってさぼり?」の境界線、実は法律と会社のルールで明確に決まっているんです。

テレワーク中の「さぼり」が懲戒や評価低下につながるかどうかは、労働基準法(e-Gov法令検索)労働契約法(e-Gov法令検索)と、自社の就業規則・テレワーク規程の内容で判断されます。

ここでは、最低限押さえておきたい法的な考え方の骨組みを整理します。

まず前提として、テレワーク中も通常の職場勤務と同じく、労働基準法などの労働関係法令がそのまま適用されます。

厚生労働省のテレワークガイドラインでも、在宅勤務・サテライト勤務などの形態にかかわらず、労働時間管理や安全配慮義務などのルールは変わらないと明記されています。

テレワークだからといって、法律のルールが緩くなるわけではないんですね!

そのうえで、多くの企業がテレワーク規程に盛り込んでいるのが「職務専念義務」です。

厚生労働省が公表している「テレワークモデル就業規則」では、テレワーク勤務時の服務規律として、次のような条文例が示されています。

📝 テレワークモデル就業規則の条文例

「勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと」

つまり、勤務時間中に業務と無関係な行為を長時間行う、無断で外出する、といった行動は職務専念義務違反=さぼりと評価され得るわけです。

一方で、就業規則の役割も重要です。

厚生労働省の資料では、就業規則は「賃金・労働時間などの労働条件や職場内の規律を定めたルール集」であり、解雇事由や懲戒(制裁)に関する事項を必ず記載することが求められるとされています。

常時10人以上の労働者がいる事業場では、就業規則の作成と労基署への届出が義務であり、そこに「どのような行為が懲戒対象になるか」が定義されています。

懲戒・解雇のルールを定めているのが労働契約法です。厚労省の「労働契約法のあらまし」や条文解説によれば、客観的合理性と社会的相当性が必要とされています。

懲戒(けん責・減給・出勤停止・降格など)は、労働契約法15条により、次の条件が求められます。

  • 行為の性質や態様などから見て客観的に合理的な理由があり、
  • 社会通念上相当な範囲でなければならない。

解雇についても、労働契約法16条により、客観的合理性と社会的相当性を欠く解雇は無効とされます。

つまり、「一度スマホを見たから即解雇」ということはあり得ませんが、長時間のさぼりや注意指導後も改めない継続的な違反であれば、懲戒・解雇の正当な理由と評価される可能性が高まります。

一回の軽いミスで即アウトではないけど、繰り返しや悪質性が重なると話は別なんですね。

実務解説(法律専門出版社のコラム)でも、在宅勤務中に無断で業務を離脱する「中抜け」は、休憩時間中を除き職務専念義務違反にあたり得ると説明されており、やむを得ない事情(育児・介護など)がある場合は事前・事後の申告ルールを定めることが推奨されています。

法律上の「さぼり」判定ポイント

勤務時間中に職務に専念すべき義務に反し

業務遂行に支障を与えるレベルに達した行為

最終的には自社の就業規則・テレワーク規程に基づき判断される

OK/NG判定ケーススタディ12選

実際には「このくらいならいいのか」「これはアウトなのか」が一番悩ましいところです。

ここでは典型的な12の行動パターンを、一般的な実務感覚と公的資料の考え方を参考にしながら、あくまで目安として「OK/グレー/NG」に整理してみます。

以下は一般論であり、特定の会社での適法性を保証するものではありません。最終的な判断は、必ず自社の就業規則・上長の指示を優先してください。

行動パターン判定解説
1. 所定の休憩時間にコーヒー・軽いSNSチェック✅ OK寄り昼休みや就業規則で定めた休憩時間内の行動は、原則として労働者の自由です。この時間にコーヒーを飲んだり、スマホでSNSを見たりするのは通常「さぼり」とはされません。ただし、休憩時間を超えてダラダラと業務に戻らない場合は、注意対象になり得ます。
2. 1時間に1回、5分程度のストレッチ・飲み物補給✅ OK寄りテレワークガイドラインでは、健康確保や作業効率のための短時間の休止や体操が推奨されています。5分程度の小休憩を定期的に取ることは、むしろ安全衛生の観点で望ましいと考えられます。
3. 子どもの送迎・介護など、事前相談のうえでの短時間中抜け⚠️ グレー〜条件付きOK育児や介護など「やむを得ない事情」による短時間の離席は、就業規則やテレワーク規程に中抜けルールを定め、時間を調整することで認めるべきとする実務解説があります。事前相談・事後申告・時間の振替など、会社とルールを決めて運用すれば、さぼりではなく「柔軟な働き方」の一部と位置付けられます。
4. 昼食後の15〜20分程度の仮眠(パワーナップ)⚠️ グレー〜条件付きOK科学的にも短時間の仮眠がパフォーマンス向上に役立つという研究が多数ありますが、勤務中の昼寝をどう扱うかは就業規則次第です。昼休み時間内であれば問題視されにくい一方、勤務時間中に許可なく寝ることは「さぼり」と評価され得ます。運用ルールがない場合は、上長と相談したうえで行うのが安全です。
5. 洗濯物を取り込む程度の数分家事⚠️ グレー在宅勤務者の生活実態として、数分の家事(洗濯物の取り込みなど)を行う人は多いと報告されています。通常は業務に支障がない範囲であれば黙認されがちですが、「何度も頻繁に中断」「会議中に席を外す」ような状態は指摘対象になり得ます。
6. 勤務時間中に30分以上の動画視聴・ゲーム❌ NG寄り就業時間に長時間、業務と関係ない動画視聴やゲームをしていたケースについては、職務専念義務違反として懲戒の対象になり得ると専門家解説で指摘されています。特に、指導後も繰り返す場合や、業務が遅延している状況での実施は、評価・処分に直結しやすい行動です。
7. 無断で1〜2時間の外出(買い物・カフェ・私用)を繰り返す❌ NG寄りテレワーク規程の例では、「勤務時間中は正当な理由なく勤務場所を離れないこと」が明記されており、無断の長時間外出は明確に職務専念義務違反と見なされます。とくに、在宅勤務中の無断中抜けを繰り返すケースでは、在宅勤務の許可取消しや懲戒の対象となる文例も紹介されています。
8. 業務時間中に副業の作業を行う❌ NG寄り副業自体は政府としても推進する立場ですが、本業の勤務時間中に他社業務を行うことは、原則として職務専念義務違反にあたります。副業を認めている企業でも、「勤務時間外」「本業に支障を与えないこと」が前提になっているため、テレワーク中に副業作業をするのはNGと考えるべきです。
9. 会社の許可なく旅行先からテレワーク⚠️ グレー〜NG寄り公務員向けテレワーク指針では、テレワーク可能場所は「業務を適切に行える環境」を前提に各組織が定める必要があるとされており、勝手な場所からの勤務は想定されていません。会社が自宅等に限定しているのに、無断で旅行先から勤務した場合、「勤務場所ルール違反」として問題視される可能性があります。
10. カメラOFF会議中に別作業(SNS・動画など)⚠️ グレー〜NG寄り会議中の集中は定量化しづらいものの、明らかに議論に参加しておらず、チャットログや発言状況から「実質的に会議に出ていない」状態が続けば、勤務態度の問題として扱われます。特に、会議での役割があるにもかかわらず別作業をしている場合は、上長からの信頼低下につながりやすい行動です。
11. 勤怠打刻では「勤務中」なのにPCログが長時間ゼロ❌ NG寄りテレワークにおける適切な労務管理ガイドラインでは、会社に労働時間の適正把握義務があるとされ、PCログ等も活用するとされています。打刻とPCログが大きく食い違う状態(勤務時間のほとんど操作履歴がない等)は、「さぼり」だけでなく労働時間の不正申告として重く見られるリスクがあります。
12. 上司に虚偽の説明をして中抜けを正当化❌ NG労働契約法や各種ガイドラインでは、労使双方が信義誠実の原則に従うことが求められています。実態以上に「働いている」と見せるための虚偽報告は、行為そのものよりも「信頼関係の破壊」として、懲戒の重い理由になり得ます。

休憩時間内の行動はOKだけど、業務時間中の長時間動画視聴や無断外出は明確にNGなんですね!

セルフチェックリスト【あなたの行動は大丈夫?】

「自分はどこまでがセーフで、どこからがさぼりなのか?」を客観的に振り返るのは難しいものです。

ここでは、テレワーク中の行動が職務専念義務違反と見なされるリスクがないかを、自分で確認するためのチェックリストを用意しました。

以下の項目について、「当てはまる」ものが多いほどリスクは高くなります。

📝 行動パターンに関するチェック

  • 勤務時間中に、30分以上連続して業務と関係ない動画・ゲーム・SNSをしていることがある
  • チャットやメールの返信が、勤務時間帯なのに数時間以上途絶えることがよくある
  • 上司や同僚から「最近レスが遅い」「つかまりにくい」と指摘されたことがある
  • 会議中、発言やリアクションをほとんどせず、別画面で別のことをしていることが多い

📝 時間・場所のルールに関するチェック

  • 勤怠上は勤務中の時間帯に、会社に無断で外出することがある
  • 子どもの送り迎え・通院などで席を外すが、毎回の申告ルールが曖昧なままになっている
  • 自宅以外(カフェ・旅行先等)からテレワークしているが、会社に伝えていない
  • 実際の作業時間より少し多めに見えるように、打刻や申告の時間を盛っている自覚がある

📝 成果・パフォーマンスに関するチェック

  • テレワーク開始後、明らかに締切遅れやミスが増えたと感じる/指摘された
  • 「時間はかけているはずなのに成果が出ていない」と言われることがある
  • 前日・前週に予定していたタスクが、何度も翌日に持ち越されることが多い

📝 意識・気持ちに関するチェック

  • 「みんなさぼっているし、自分も多少は大丈夫」と自分に言い聞かせる場面が多い
  • 「もしPCログを全部見られたら、ちょっとマズいかも」と感じる
  • 上司に自分の1日の行動を、正直に説明するのが少し気まずい

チェック項目が多いほど、職務専念義務違反のリスクが高まります。自己診断の参考にしてください!

目安としての見方

YESが0〜3個程度:現時点では大きな問題は少ない可能性が高いですが、会社のルールと照らし合わせてグレーな点がないか確認しておきましょう。

YESが4〜7個程度:職務専念義務違反とまでは言えなくても、「さぼりやすいパターン」が習慣になっている可能性があります。自己管理の見直しや、上長との期待値すり合わせを検討したいラインです。

YESが8個以上:ログや成果で見ても問題視されるリスクが高く、場合によっては評価・処分の対象にもなりかねません。自己管理術だけでなく、業務量や目標の設定が適切かどうかも含めて、早めに上司や人事に相談することをおすすめします。

厚生労働省のガイドラインでも、テレワークは「労働者の自律的な働き方」と「使用者による適切な労務管理」のバランスが重要だとされています。

自分を責めすぎる必要はありませんが、「ログを全部見られても胸を張れるか?」を一つの基準にしながら、行動を調整していくことが大切です。

【管理者向け】テレワークのさぼりを防止する対策7選

テレワークの「さぼり」をゼロにすることは現実的ではありませんが、成果ベース評価、適切な報告ルール、1on1面談など、マネジメント次第で問題化を防ぎ、生産性を高めることが可能です。

テレワークの「さぼり」をゼロにすることは現実的ではありませんが、マネジメント次第で問題化を防ぎ、生産性を高めることは可能です。

この章では管理職・人事がすぐ実践できる具体的な対策を整理します。

「さぼりを完全になくす」より「成果を出しやすい環境を作る」方が、結果的に生産性は上がります!

対策1:成果ベース評価への移行【時間管理からの脱却】

出社前提の「長く席にいる人が評価される」マネジメントをテレワークに持ち込むと、さぼりへの不信感が高まりやすくなります。

時間ではなく成果で評価する仕組みに移行することで、働く場所やスタイルに左右されない公平な評価がしやすくなります。

厚生労働省のテレワーク関連資料や専門家の解説でも、テレワークを本格導入する場合には「従来の勤務態度重視の評価から、目標管理制度など成果を重視する制度への見直し」が推奨されています。

実際、テレワーク先進企業の事例でも、「業務の成果や達成率を評価基準の中心に据え、就業場所や働き方の違いは評価に反映しない」方針が紹介されています。

「何時間働いたか」ではなく「何を達成したか」に評価軸を移すことが、テレワーク成功の鍵なんですね。

実務としては、次の3ステップが分かりやすいです。

STEP
成果物・アウトカムを言語化する

「レポートを週3本」「問い合わせ対応の一次レスポンスを○時間以内」など、具体的な成果・状態で目標を定義します。

テレワークで見えなくなるのは”過程”なので、逆に”結果”をクリアにしてあげると双方のストレスが減ります。

STEP
目標管理(MBO)をシンプルに回す

四半期・半期ごとに「チーム目標 → 個人目標」をすり合わせ、進捗レビューの日程もあらかじめ決めておきます。

厚労省のテレワーク検討会資料でも、成果評価に加えて「望ましい行動スタイルやプロセス」もセットで共有することが重要と指摘されています。

STEP
評価基準をドキュメントで可視化する

「何ができたらS/A/Bなのか」を言語化し、チーム全員が見られる場所に置く。

上司ごとの評価基準のブレを減らすことで、「さぼり」を疑われる不安も小さくなります。

「成果で評価するから、働き方の細部はある程度任せる」というメッセージが伝わると、従業員側も「ごまかすためのさぼり」ではなく、「成果を出すための適度な休憩」に意識が向きやすくなります。

対策2:定期報告ルールの最適化【過度な監視はNG】

報告ルールが曖昧だと「何を、どれくらい伝えればいいか」が分からず、管理側も現場側もストレスが溜まりやすくなります。

過度な報告義務で縛るのではなく、必要十分な頻度とフォーマットを決めて、さぼり防止と負担軽減のバランスを取ることが重要です。

テレワークの実態調査では、「上司とのコミュニケーション不足」「評価・進捗把握のしづらさ」が管理職側の大きな悩みとして繰り返し挙げられています。

一方で、毎時間の報告や細かすぎるチェックは、「監視されている」という不信感を招き、長期的には生産性を下げる要因にもなります。

報告は「監視のため」ではなく「サポートのため」という目的を共有することが大切です!

おすすめの基本設計は、次のようなイメージです。

📝 デイリーレポート:1日の始めor終わりに簡潔に

例)「今日やること/今日やったこと/詰まっていること」を各3〜5行程度でSlackやTeamsに投稿。

📝 ウィークリーミーティング:週1回の進捗共有+優先度調整

進捗が見えれば、途中の細かい”さぼり”に目を光らせなくても、自然と成果ベースのマネジメントに寄せられます。

📝 緊急・重要案件はその都度チャット or ショートMTG

「相談のハードル」を下げることで、抱え込みからの生産性低下や”空白時間”を防ぎます。

報告の目的は「締め上げること」ではなく、「状況を早めに共有して、詰まりを一緒に解消すること」です。

この前提を最初に共有しておくと、報告ルールが”監視”ではなく”安心材料”として機能しやすくなります。

対策3:1on1面談で信頼関係を構築

テレワークでは雑談や観察を通じた「なんとなくの様子把握」ができないため、1on1面談の有無が信頼関係とさぼり防止に直結します。

定期的に顔を合わせて対話する場を設けることで、モチベーション低下やさぼりの芽を早期に発見しやすくなります。

人事系メディアの解説では、テレワーク下で「月1〜2回程度の1on1をオンラインで行うこと」により、評価への納得感や心理的安全性が高まると報告されています。

また、厚労省が紹介するテレワーク推進企業の事例でも、管理職向けの1on1トレーニングや定期面談によって、成果の可視化と信頼関係の維持に成功している例が挙げられています。

1on1は「さぼりを問い詰める場」ではなく、「成果と働きやすさを一緒に設計する場」なんです。

テレワーク時代の1on1では、次の3点を意識すると効果的です。

  • 頻度:月1〜2回を”最低ライン”にする
    「困ったときだけ話す」ではなく、定期便として予定に組み込むことで、部下も準備しやすくなります。
  • アジェンダ:成果+プロセス+コンディション
    「何を達成したか(成果)」だけでなく、どう進めたか(プロセス)、体調・メンタル・家庭の事情(コンディション)までセットで確認します。テレワークのストレスや孤立感は、メンタル不調やさぼりにつながりやすいことが研究でも指摘されています。
  • フィードバック:責めるのではなく、一緒に設計する
    「なぜできていないのか」を詰問するのではなく、「どうすればやりやすくなるか」を一緒に考えるスタンスを徹底します。

1on1は「さぼりを問い詰める場」ではなく、「成果と働きやすさを一緒に設計する場」と位置付けることで、さぼりの芽を早めに共有してもらえる土壌ができます。

対策4:コミュニケーションツール活用術

SlackやTeams、Zoomなどのツールは、使い方次第で「監視ツール」にも「自律を促す仕組み」にもなります。

通知やチャンネル設計を工夫し、情報共有と相談のしやすさを高めることで、さぼりよりも協働を促すコミュニケーション基盤を整えられます。

テレワークのコミュニケーション課題を扱った記事では、「チャットやWeb会議システムの設計が不十分だと、連携ミスや孤立感を生み、生産性低下につながる」と指摘されています。

一方、社内コミュニケーションの取り組み事例では、SlackやTeamsなどのチャットツールを活用して、スピーディーな情報共有と雑談の場を両立させている企業も多数紹介されています。

さぼり防止につながる設計のポイントは次の通りです。

  • ステータス運用を”信号機”のように使う
    「集中作業中」「離席中」「会議中」などのプレゼンス表示をチームで統一ルール化し、行動の透明性を高めます。
  • 目的別にチャンネルを分ける
    #team-○○(業務)、#help-○○(相談)、#random(雑談)など、用途別にチャンネルを分けることで、「どこに書けばいいか分からない」状態を減らします。
  • ショートMTGを気軽に立ち上げる文化を作る
    チャットで数往復するより、5〜10分の音声/ビデオでさっと決めてしまう方が、「わからないから止まっている時間」を減らせます。

ツールを”監視のため”ではなく”相談しやすくするため”にどう設計するかが重要です!

「連絡しづらい」「相談しづらい」環境は、結果的に手が止まる=さぼりに見える時間を増やしてしまいます。

対策5:テレワーク環境支援で生産性UP

テレワークでのさぼりには、本人の怠慢だけでなく、機材不足や作業環境の悪さ、メンタル不調などの背景要因が隠れていることも少なくありません。

環境や健康への支援策を整えることで、「さぼっている」のではなく「働きにくい」を減らすことができます。

厚労省の分析レポートやメンタルヘルス研究では、テレワーク環境が整っていないことや孤立感の高まりが、ストレス増加やパフォーマンス低下につながることが指摘されています。

企業として取り組みやすい支援策の例は以下の通りです。

  • 機材・回線への投資
    ノートPCだけでなく、外付けモニター・キーボード・ヘッドセットなどの支給や、在宅勤務手当での補助。テレワーク関連ツール一覧でも、デバイス管理や回線の安定性確保が課題として挙げられています。
  • 在宅環境の整え方ガイドの配布
    机・椅子・照明・騒音対策など、「最低限ここだけは押さえたいポイント」を社内マニュアルにして共有。
  • メンタルヘルス支援と相談窓口
    テレワークは、若手・中途・独居者など特定層のストレスを高めやすいことが調査で示されています。EAP(従業員支援プログラム)の案内や産業医面談、匿名相談窓口などを整備し、「抱え込ませない」仕組みを作ります。

環境が悪いまま「さぼるな」と言っても、根本原因が解消されなければ行動は変わりません。逆に、働きやすい環境が整えば、「あえてさぼる必要がない」状態に近づいていきます。

対策6:適度な監視ツールの導入【プライバシー配慮】

勤怠管理・PC監視ツールは、導入の仕方を誤ると信頼関係を壊し、かえって生産性を下げるリスクがあります。

一方で、労働時間の適正把握や長時間労働の抑制などに役立つ側面もあるため、目的と範囲を明確にしたうえで「ほどよい監視」を設計することが大切です。

日本テレワーク協会などがまとめたツール一覧では、勤怠管理、PC操作ログ、デバイス管理など多様なテレワーク支援ツールが紹介される一方、「従業員のプライバシー保護にも配慮した設計」が必要とされています。

また、勤怠管理システムの比較記事でも、GPSや操作ログなどによる過度な監視は、従業員のプライバシー侵害や信頼関係の悪化につながるため注意が必要とされています。

「何をどこまで見られているか分からない」状態が、不信感とストレスを生みます。

導入時に押さえておきたいポイントは次の3つです。

  • 目的を「監視」ではなく「労務管理・健康管理」に置く
    労働時間の適正把握や長時間労働の抑止、業務負荷の偏りの見える化など、正当に必要な目的を明文化します。
  • 取得するログの範囲と保存期間を明示する
    例)「出退勤時刻」「アプリ利用時間」「一部URLログ」など、取得する項目と用途を社内ポリシーとして開示します。
  • 導入前に説明・同意のプロセスを設ける
    目的・範囲・メリット(サービス残業の可視化、不正な長時間労働の抑止など)を説明し、質疑応答の場を設けます。

「監視しない=野放し」ではなく、「必要な範囲だけ記録し、運用を透明化する」ことで、さぼりの抑止とプライバシー配慮の両立が可能になります。

対策7:さぼりを見つけた時の適切な指導法

さぼりを発見したとき、感情的に叱責したり、いきなり懲戒を持ち出したりすると、信頼関係が壊れ、状況が悪化しがちです。

事実を整理して背景を確認し、改善のための具体的な行動を一緒に考えるコミュニケーションが、長期的な再発防止につながります。

テレワークの労務管理に関する解説では、在宅勤務中の「中抜け」やさぼりが疑われる場合でも、いきなり処分ではなく、まずは事実確認と注意指導から段階的に対応することが推奨されています。

指導の基本ステップは、次の流れが分かりやすいです。

STEP
ログ・成果をもとに”事実”を確認する

「○日の○時〜○時の間、PC操作がほとんど無かった」「このタスクの期限が何度も後ろ倒しになっている」といった客観的事実を共有します。

STEP
本人の事情・背景を必ず聞く

育児・介護・健康問題など、やむを得ない事情が隠れていることもあります。事情によっては、勤務時間帯や中抜けルールの見直しなど、制度側の調整が有効な場合もあります。

STEP
期待する行動とサポート内容を明確にする

「今後は○○の時間帯は事前に申請して中抜けとする」「デイリーレポートで作業内容を短く共有する」など、具体的な行動レベルに落とし込みます。

STEP
再発時の扱いも事前に伝える

それでも改善されない場合は、評価への反映や懲戒の可能性があることを冷静に伝えます(就業規則・労働契約法の範囲内で)。

「問題行動」を責めるだけでなく、「なぜそうなったのか」「どうすれば防げるか」を一緒に考えるスタンスが、信頼関係を保ちながらさぼりを減らす近道です。

やってはいけないNG対策3つ

テレワークのさぼり対策は、「やりすぎると逆効果」になりやすい領域でもあります。

短期的にさぼりを抑えたように見えても、モチベーション低下や離職、メンタル不調を招けば組織としての損失が大きくなるため、避けるべきNG施策も押さえておく必要があります。

避けるべきNG対策

NG1:常時カメラON・マイクONを強制する
物理的な監視と同じレベルのプレッシャーを与え、在宅ならではの働きやすさを奪ってしまいます。プライバシー侵害への懸念も強く、「信頼されていない」と感じさせやすい施策です。

NG2:成果よりもログ・在席時間ばかりを評価する
「オンラインさえしていれば評価される」文化は、かえって”ログを偽装するさぼり”を生み、健全な社員ほど損をする状況を生みます。政府や専門家も、テレワーク下の評価は成果や達成度を重視する制度への見直しが必要と指摘しています。

NG3:個人名を晒しての”見せしめ”・一律厳罰
一部のさぼり行為を社内チャット等で晒し上げる、初回から重い懲戒を科す、といった対応は、恐怖による統制にはなっても、自律的な生産性向上にはつながりません。メンタルヘルス研究でも、過度なストレスや不安がパフォーマンス低下に直結することが示されており、長期的には組織のダメージが大きくなります。

「さぼり対策」のつもりが、気づけば「社員を追い詰める仕組み」になってしまわないよう注意が必要です。

「さぼり対策」のつもりが、気づけば「社員を追い詰める仕組み」になってしまわないよう、信頼と成果の両立を常に意識したマネジメントが重要です。

【従業員向け】テレワークでさぼらない自己管理術5選

テレワークでの「さぼり」は、時間管理と環境づくりで大幅に防げます。ポモドーロテクニックや作業環境の整備など、今日から始められる5つの実践術を紹介します。

ここからは「さぼりが不安」「ついダラけてしまう」というテレワーク従業員向けに、無理なく集中と休憩をコントロールする実践テクニックを紹介します。

成果を出しながらも、心身の健康を保つ働き方を設計していきましょう。

「さぼってしまう」のは、意志の弱さではなく、環境や仕組みの問題かもしれません。

術1:ポモドーロテクニックで集中力維持

ポモドーロテクニックは、「25分作業+5分休憩」を1セットとして繰り返すシンプルな時間管理法です。

テレワークで注意力が散りやすい環境でも、短いサイクルで区切ることで集中を持続しやすくなります。

心理学の研究では、人間の集中力は平均して約25分が限界とされており、このテクニックは脳の自然なリズムに沿った設計になっています。

📝 ポモドーロテクニックの基本ルール

1. 25分間、タスクに集中する

タイマーをセットし、その間は他のことに気を取られないようスマホやSNSを遠ざけます。

2. 5分間、完全に休憩する

席を立って伸びをする、水を飲む、窓の外を見るなど、画面から離れます。

3. 4セット終えたら、15〜30分の長めの休憩

軽い運動や昼食、家事などを挟んで、脳をリセットします。

最初は「25分じゃ物足りない」と感じるかもしれませんが、むしろ「もっとやりたい」と思えるくらいで止めるのがコツです!

導入のポイントは、タイマーアプリやWebサービスを活用して、時間を視覚化することです。

代表的なツールとして、「Focus To-Do」「Pomofocus」「Forest」などがあり、スマホやPC、ブラウザから無料で使えるものが多数あります。

タスク管理と組み合わせて記録できる機能もあるため、「今日は何ポモドーロ達成したか」を振り返ることで、モチベーションにもつながります。

ポモドーロが向いている人

長時間の作業が苦手で、すぐに気が散ってしまう

スマホやSNSをついつい見てしまう

「休憩していいのかな?」と罪悪感を感じやすい

短いサイクルで「集中」と「休憩」をルール化すると、「さぼり」との区別が明確になり、自分自身の不安も減っていきます。

術2:作業環境の整備と誘惑の排除

テレワークで「さぼり」が発生する原因の多くは、作業スペースが仕事モードに最適化されていないことにあります。

ベッドやソファで作業すると、脳が「リラックスモード」のままになってしまい、集中しにくくなります。

厚生労働省テレワークガイドラインでも、「作業環境の整備」が重要なポイントとして挙げられており、照明・椅子・デスクなどの基本的な環境を整えることが推奨されています。

📝 環境整備のチェックリスト

□ 仕事専用のデスクと椅子を用意する

ダイニングテーブルでも構わないので、「ここは仕事場」とエリアを区切ります。

□ 視界から誘惑を遠ざける

ゲーム機、マンガ、テレビのリモコンなど、仕事中に目に入ると気が散るものを物理的に離します。

□ スマホは別の部屋、または引き出しに入れる

「手元にあると見てしまう」なら、物理的に遠ざけるのが最も効果的です。

□ 照明と温度を調整する

薄暗い部屋や暑すぎる・寒すぎる環境は、集中を妨げる大きな要因です。

「誘惑」を意志の力で我慢するのではなく、そもそも見えない環境を作るのが自己管理のコツです!

また、作業環境を整えるだけでなく、「仕事開始の儀式」を決めておくと、オンオフの切り替えがしやすくなります。

例えば、「コーヒーを淹れてからデスクに座る」「着替えてから仕事を始める」「朝のミーティングで顔を出す」など、ルーティンを持つことで脳が「今から仕事モード」と認識しやすくなります。

環境整備の注意点

・完璧な環境を目指す必要はありません

・まずは「スマホを遠ざける」「視界を整理する」など、小さな改善から始めるのが続けるコツです

術3:タスク管理と細分化で「手が止まる時間」を減らす

テレワークで「さぼり」が増える原因の1つに、「何をすればいいか分からない」状態が挙げられます。

タスクが曖昧だと、手が止まってしまい、その間にSNSや動画を見始めてしまうという流れが生まれやすくなります。

逆に、やるべきことが明確で、かつ「次に何をするか」が見えていると、迷いなく手を動かせるため、さぼる隙が減ります。

📝 タスク管理の3ステップ

ステップ1:その日のタスクを朝イチで書き出す

「今日やること」をToDoリストや付箋、タスク管理アプリに書き出します。

頭の中だけで覚えようとすると、不安や迷いが生まれてさぼりのきっかけになります。

ステップ2:大きなタスクは「30分以内で終わるサイズ」に分割する

「資料を作る」という曖昧なタスクではなく、「構成案を箇条書きにする」「1ページ目の図表を作る」など、具体的な行動レベルまで細かくします。

ステップ3:優先順位をつけて、上から順に片付ける

「緊急×重要」「重要だが緊急ではない」などの軸で整理し、迷わず手をつけられる状態を作ります。

タスクが細かいほど「終わった感」が積み重なって、モチベーションが維持しやすくなります!

タスク管理ツールとしては、「Trello」「Notion」「Todoist」「Google Keep」など、無料で使えるものが豊富にあります。

どれを使うかよりも、「毎日確認する習慣」を作ることが重要です。

また、タスクを可視化することで、上司や同僚に「今日は何をやっているか」を共有しやすくなり、コミュニケーションのハードルも下がります。

タスク管理のポイント

「何から手をつければいいか分からない」状態を作らない

小さな達成感を積み重ねて、自然と手が動く状態を保つ

術4:上司・同僚とのコミュニケーション習慣化

テレワークでは、オフィスにいるときのような「なんとなくの見守り」がなくなるため、意識的にコミュニケーションを取らないと孤立感や不安が強まり、結果的にさぼりや手抜きのリスクが高まります。

逆に、定期的に報告や相談を習慣化することで、上司からの信頼も得やすくなり、自分自身も「見られている」という適度な緊張感を保つことができます。

📝 コミュニケーションを習慣化する具体策

朝イチのチェックイン

SlackやTeamsで「今日やること」を簡潔に投稿する。

例:「おはようございます。今日は○○の資料作成と△△MTGの準備をします」

終業時の報告

「今日完了したこと」「明日やること」を3行程度でまとめて送る。

これだけで、上司は進捗を把握でき、自分も1日の振り返りができます。

困ったらすぐに声をかける

「ちょっと相談いいですか?」と気軽にチャットを送る文化を作ることで、抱え込みからの「手が止まる時間」を防げます。

「報告=監視されている」ではなく、「報告=安心材料」と捉えると、ストレスが減りますよ!

また、同僚とのカジュアルなコミュニケーションも重要です。

雑談チャンネルやオンラインランチ、バーチャル休憩室など、業務外の接点を持つことで、孤立感が和らぎ、モチベーション維持にもつながります。

コミュニケーションの頻度は、チームや上司の方針に合わせつつ、自分から「見えるようにする」姿勢を持つことが、信頼構築の第一歩です。

術5:適度な休憩でパフォーマンス向上

「さぼり」と「休憩」の違いは、意図的にリフレッシュして、次の作業に戻れるかどうかにあります。

適切な休憩を取らずにダラダラと作業を続けると、かえって生産性が下がり、結果的に「さぼっている時間」が増えてしまいます。

脳科学の研究では、人間の集中力は90分〜120分が限界とされ、定期的な休憩が作業効率を高めることが示されています。

📝 効果的な休憩の取り方

5〜10分の短い休憩(1〜2時間ごと)

・席を立って伸びをする

・窓の外を見て目を休める

・水を飲む、軽く体を動かす

30分〜1時間の長めの休憩(昼休みや午後の区切り)

・昼食をしっかり取る

・散歩やストレッチで体をリセット

・仮眠(15〜20分程度)で脳を休める

休憩中にやらない方がいいこと

・SNSやYouTubeのダラダラ閲覧(かえって疲れる)

・仕事のメールチェック(脳が休まらない)

休憩は「サボり」ではなく、生産性を高めるための投資です。罪悪感を持たずに堂々と休みましょう!

また、厚生労働省のテレワークガイドラインでも、「労働時間の適正な把握」と「長時間労働の抑制」が強調されており、適切な休憩を取ることが長期的なパフォーマンス維持につながると指摘されています。

休憩を「ご褒美」として位置づけ、タスクをいくつか終えたら必ず休む、というルールを自分に課すことで、メリハリのある働き方が定着していきます。

休憩のポイント

「休む」ことを計画に組み込む

体を動かす・目を休める・脳をリセットすることを意識する

ダラダラとSNSを見るのは「休憩」ではなく「時間の浪費」

テレワークのさぼり対策ツール比較【導入検討中の方へ】

テレワークの生産性向上には、勤怠管理・PC監視・プロジェクト管理ツールを課題に合わせて組み合わせることが重要。プライバシー配慮と透明な運用ルールが信頼関係を守ります。

テレワークの「さぼり」を防ぎ、生産性を上げるには、人だけでなくツールの力も欠かせません。

この章では、勤怠管理・PC監視・プロジェクト管理ツールの種類と選び方、おすすめサービス、導入時の注意点を整理します。

ツール選びで大切なのは、「何を見える化したいか」を明確にすることです!

勤怠管理・監視ツールの種類と選び方

テレワーク向けの「さぼり対策」ツールは、大きく「勤怠管理」「PCログ・画面監視」「プロジェクト管理」の3カテゴリに分けられます。

それぞれ役割が異なるため、自社の課題にあわせて組み合わせる発想が重要です。

📝 1. 勤怠管理システム(打刻・労働時間の見える化)

クラウド型の勤怠管理システムは、出退勤の打刻、残業時間の集計、休暇管理などを一元管理できるツールです。

代表例として、クラウド型勤怠管理で国内トップシェアとされる「KING OF TIME」や、ジョブカン勤怠管理、マネーフォワード クラウド勤怠などが挙げられます。

特徴

・PC・スマホ・ICカードなど多様な打刻方法

・フレックス・シフト制など複雑な勤務形態にも対応

・残業時間や有給残日数の自動集計

さぼり対策としての役割

・「いつ働いていたか」を客観的な打刻とログで把握

・長時間労働や中抜けの傾向を早期に把握

📝 2. PC操作ログ・画面監視ツール

PCの操作ログや画面を記録して、テレワーカーの勤務状況を可視化するツールもあります。

たとえば「F-Chair+」は、着席・退席ボタンで勤務開始/終了を記録し、テレワーク中のPC操作画面やログを自動で保存するマネジメントツールとして紹介されています。

特徴

・アプリ・ウィンドウごとの利用ログ

・一定間隔での画面キャプチャ/録画

・着席・退席ボタンで勤務時間を自動計測

さぼり対策としての役割

・「どの画面でどれだけ作業していたか」を可視化

・長時間の私的利用や極端な”無操作状態”を発見

📝 3. プロジェクト・タスク管理ツール

Backlog、Asana、Jira、monday.comなどのプロジェクト管理ツールは、タスクの割り振りや進捗状況を見える化し、「誰が何を担当しているか」をチーム全体で共有できます。

日本企業向けの比較記事でも、BacklogやAsanaなどが代表的ツールとして紹介されています。

特徴

・タスク単位の担当者・期限・進捗管理

・コメント機能でのやりとり履歴

・ガントチャートやカンバンボードでの可視化

さぼり対策としての役割

・「タスクが進んでいるか/止まっているか」が一目で分かる

・ログイン状況より”アウトプット”で状況を把握

ツールは「疑うため」ではなく、「働き方と成果を見える化して、納得のいくマネジメントをするため」のものです!

選び方の基本軸

まず自社の課題を明確にする

打刻の不正や中抜けが問題 → 勤怠管理+ログ

仕事の進捗が見えない → プロジェクト管理

既存システムとの連携を確認

給与計算システム、人事システムとのAPI連携やCSV連携

「監視色」が強すぎないかをチェック

目的が”監視”だけになっていないか、プライバシーや信頼関係への影響を検討

ここでは、テレワークのさぼり対策や生産性向上に役立つ代表的なツールを5つピックアップし、機能の特徴とテレワーク向きポイントを一覧にまとめます。

価格はプランや人数で変動するため、最新情報は必ず公式サイトで確認してください。

ツール名カテゴリ主な機能・特徴テレワーク向けのポイント
KING OF TIME勤怠管理クラウド型勤怠システム。PC・スマホ・ICカードなど多様な打刻に対応。390万以上のアカウントで利用される国内トップシェア。在宅・出社・シフト勤務を一元管理でき、打刻データをもとにテレワーク中の労働時間を正確に把握できる。
ジョブカン勤怠管理勤怠管理打刻・シフト・有休管理など勤怠機能がまとまったクラウドサービス。比較サイトでも代表的な選択肢として紹介。シンプルな画面と安価な料金が特徴で、初めてのテレワーク勤怠管理でも導入ハードルが低い。
マネーフォワード クラウド勤怠勤怠管理スマホ・PCでの打刻、各種勤務形態、残業・有休管理などに対応。マネーフォワードシリーズとの連携が強み。経費精算・給与計算などバックオフィス全体をクラウドで統合したい企業に向き、テレワークの勤怠と給与処理をシームレスに連携できる。
F-Chair+PCログ・画面監視着席・退席ボタンで勤務時間を記録し、PCの操作ログや画面を自動で可視化する業務可視化ツール。テレワーク中の作業画面や残業の状況を把握でき、長時間労働の抑制や”何をしているか見えない”不安の解消に役立つ。
Backlogプロジェクト管理タスク管理、課題管理、ガントチャートなどを備えた国産プロジェクト管理ツール。導入事例ではタスクの可視化とコミュニケーション効率化の効果が報告。開発・非開発を問わず、タスク単位で進捗を共有できるため、「在宅で何をしているか」を成果ベースで把握しやすい。

ツール選びは、「何が課題か」を明確にしてから始めると失敗が減りますよ!

比較・選定のポイント

規模・予算

~数十名規模なら、ジョブカンやマネーフォワードなど、シンプルで始めやすいサービスが候補になりやすい。

勤務形態の複雑さ

シフト制・フレックス・多拠点など、運用が複雑な場合は、柔軟な打刻・集計に強いKING OF TIMEが有力とする比較記事も多い。

「監視」の強さ

PC画面監視ツールは強力だが、導入目的とルールを明確にしないと反発を招きやすい。まず勤怠+プロジェクト管理から始め、必要性を見極めて段階的に導入する方法もある。

ツール導入時の注意点とプライバシー配慮

テレワークのさぼり対策ツールは、入れ方を誤ると「社員を監視する会社」というレッテルを貼られ、信頼関係を大きく損ねてしまいます。

そこで重要になるのが、目的・範囲・説明の3点です。

総務省がまとめたテレワークセキュリティ関連のガイドラインや、各種ログ管理システムの解説でも、従業員のプライバシーや個人情報保護法(e-Gov法令検索)に配慮した運用の必要性が強調されています。

📝 1. 目的を「監視」ではなく「適正な労務管理」として明文化する

労働時間の適正把握や長時間労働の抑制、業務負荷の偏りの是正など、ツール導入の目的を文書にして共有します。

「サボりを見つけるため」だけを前面に出すと、反発や萎縮、隠れてさぼる行動を誘発しがちです。

📝 2. 取得する情報の範囲・期間をできるだけ限定する

勤怠の打刻情報だけなのか、アプリ利用ログまで取得するのか、画面キャプチャまで行うのかを明確にし、必要最小限にとどめます。

保存期間も「業務上必要な範囲」に限定し、目的外利用(人事評価以外の場面での恣意的引用など)を禁止するルールを定めます。

📝 3. 導入前に丁寧な説明と質疑応答の場を設ける

どのようなデータが、誰によって、どのような目的で閲覧されるのかを具体的に説明します。

「ログは原則として個人を監視するためではなく、問題が疑われる場合の確認や、労務管理・業務改善のために用いる」といった運用方針を共有しておくことが重要です。

導入前の説明会で、社員の不安や疑問をしっかり受け止めることが信頼につながります!

📝 4. ツールだけに頼らず、評価制度やコミュニケーションとセットで運用する

勤怠ログやPC操作ログだけを見て評価すると、「在席している人が得をする」歪んだインセンティブが生まれます。

先に述べた成果ベースの評価や1on1、報告ルールと組み合わせ、「ログはあくまで参考情報」として扱う姿勢が大切です。

📝 5. 社員からのフィードバック窓口を用意する

「ツールの設定が厳しすぎて仕事がしづらい」「プライバシーが不安」などの声を受け付ける窓口を設け、定期的に運用を見直します。

テレワークのさぼり対策ツールは、「社員を縛る道具」にも「お互いを守る安全装置」にもなり得ます。“何を見るか”より、”どう説明し、どう扱うか”が、その境界線を決めると言ってよいでしょう。

まとめ:テレワークのさぼりは「信頼」と「仕組み」で解決

テレワークのさぼり問題は、「社員をどこまで信頼するか」と「その信頼を支える仕組みをどう作るか」の両輪で解決します。データ・ルール・対話を組み合わせて、組織と個人が納得できる働き方を設計しましょう。

テレワークのさぼり問題は、「社員をどこまで信頼するか」と「その信頼を支える仕組みをどう作るか」の両輪で考える必要があります。

感覚や思い込みではなく、データ・ルール・対話を組み合わせて、組織と個人が納得できる働き方を設計していきましょう。

「信頼」だけでも「監視」だけでもない、バランスの取れた仕組みが成功の鍵です!

本記事の要点整理

ここまで見てきたように、テレワークのさぼりは「みんなやっている軽い行動」から「懲戒につながり得る深刻な義務違反」まで幅があります。

本記事のポイントをざっと振り返り、どこから手を付けるべきかを整理しておきましょう。

📝 ① 実態編:さぼりは”ゼロ”ではないが、全てが悪ではない

・テレワーク経験者の半数〜8割が、何らかの「業務外行動」をしている

・その多くは、長めの休憩・家事・ネット閲覧など、短時間の”ちょこっと行動”

・通勤時間削減や柔軟な休憩により、トータルの成果が維持・向上している層もいる

「一切さぼるな」ではなく、「成果と健康を保てる範囲でどう運用するか」が重要

📝 ② バレる仕組み編:ログと成果の積み重ねで見抜かれる

・勤怠打刻とPCログ、アプリ利用時間、画面キャプチャ、通信ログなどが組み合わさる

・「勤務中なのに長時間の無操作」や「明らかに業務外サイトの長時間利用」は目立つ

・マウス操作ツールなどで”ごまかす”行為は、信用失墜リスクを高めるだけ

「バレないようにさぼる」発想は、技術的にも法的にも割に合わない

📝 ③ 判定基準編:法律+就業規則で線引きされる

・テレワーク中も労働基準法(e-Gov法令検索)労働契約法(e-Gov法令検索)は変わらず適用される

・職務専念義務に反し、業務に支障を与えるレベルの行為は「さぼり」かつ懲戒対象になり得る

・一度の軽い私用利用で即解雇は通常困難だが、長時間・反復・虚偽報告はかなり危険

最終的な判断基準は「自社の就業規則・テレワーク規程」にある

法律は変わらないけど、運用ルールは会社ごとに違います。自社の規程を確認しましょう!

📝 ④ 管理者対策編:成果と信頼ベースのマネジメントへ

・成果ベースの評価に寄せることで、「在席時間信仰」から脱却できる

・デイリー報告・週次MTG・1on1で、状況とコンディションをこまめに共有

・環境整備・メンタルケア・適度なツール導入で、”さぼるしかない状況”を減らす

「疑って監視する」のではなく、「成果が出る環境と仕組みを整える」が本筋

📝 ⑤ 従業員対策編:自己管理とデジタルデトックス

・ポモドーロやタイムブロッキングで「時間の箱」を先に決めてしまう

・作業環境の最適化と休憩設計で、ダラダラさぼりを”計画的なリフレッシュ”に変える

・SNS・スマホ依存は、通知オフや利用時間制限など仕組みで対処する

「自分を責める」のではなく、「自分を助けるルールや習慣」を増やしていく

📝 ⑥ ツール編:見える化は”信頼の補助線”として使う

・勤怠管理・PCログ・プロジェクト管理ツールは、それぞれ役割が違う

・目的(労務管理・生産性向上)と範囲(どこまで見るか)を明文化して導入

・ログは”罰するため”ではなく、”問題に早く気づくため”の材料として扱う

「ツール+評価+対話」の三位一体で運用することが成功のポイント

管理者・従業員それぞれの次のアクション

最後に、この記事を読み終えたあと、管理者と従業員が「明日から具体的に何をすればいいか」をシンプルに整理します。

小さな一歩でも、チーム全体で積み重ねれば、テレワークのさぼりは確実に”問題”から”付き合い方の工夫”へと変わっていきます。

完璧を目指すより、まずは一つだけ実行してみることが大切です!

▼管理者・人事が取るべきアクション

1. 自社のテレワーク規程と就業規則を一度読み直す

・職務専念義務やテレワーク時のルール、懲戒事由がどう書かれているかを確認

・グレーな部分が多い場合は、法務・人事と連携して改訂の検討を始める

2. 「成果ベースで評価する」方針をチームに宣言する

・在席時間よりも成果やアウトカムを重視することを明言し、評価の軸を共有

・あわせて、短期的な目標と指標(KPI)を一緒に言語化する

3. 報告・1on1・ツールの”3点セット”を設計する

・デイリーレポート/週次MTG/月1〜2回の1on1のリズムを決める

・必要に応じて、勤怠管理やタスク管理ツールの導入・見直しを検討

4. さぼりを見つけたときの対応フローを整える

・「事実確認 → 背景ヒアリング → 合意した改善策 → 再発時の扱い」という流れを文書化

・感情的な叱責や見せしめにならないよう、管理職間での足並みを揃える

▼従業員が今日からできるアクション

1. 「1日の時間割」をざっくり作ってみる

・明日の午前だけでもいいので、やることと時間ブロックをカレンダーに入れてみる

・25分集中+5分休憩など、1つでもポモドーロを試してみる

2. 作業環境と誘惑の”1カ所だけ”改善する

・スマホの定位置を机から少し離れた場所に変える

・画面の映り込みを減らす、椅子にクッションを足す など、小さな改善を一つ

3. 自分の行動をセルフチェックリストで振り返る

・YESが多かった項目を1〜2個だけ選び、「今週はここだけ気を付ける」と決める

・必要なら、上司に「こういう部分が不安なので相談したい」と素直に伝える

4. 「ログを全部見られても説明できるか?」を基準にする

・完璧である必要はありませんが、「説明できない行動」が増えていると感じたら要注意

・自分を責めるのではなく、「どうすれば説明できる行動に近づけるか」を考えてみる

テレワークのさぼりは、誰もが陥りうる身近なテーマです。だからこそ、「誰かを一方的に悪者にする」のではなく、データで実態を知る/ルールと評価軸を整える/ツールと対話で信頼を補強するという三つの視点で向き合うことが大切です。

この記事の内容を、自社のルールづくりやチームの話し合いのたたき台にしつつ、「信頼」と「仕組み」が両立したテレワーク運用を少しずつ形にしていきましょう。

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