NTTdocomoのAI活用事例を解説!ノーコード生成AIアプリ「Node-AI」を活用した戦略的なDX推進方法とは?

NTTドコモは、ノーコードで生成AIアプリケーションを開発・運用できるプラットフォームを活用し、DXを戦略的に推進しています。独自開発したノーコード生成AIアプリ「Node-AI」を活用することで、業務効率化とサービス向上を推進しています。

特にノーコード生成AIアプリの活用は、NTTdocomoにおける全社的なDXを加速させるための戦略的な柱となっています。その具体的な取り組みについて、背景や効果を交えて解説します。

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目次

NTTdocomoがAI導入に至る背景・課題

NTTdocomoがAI、特に生成AIの導入に踏み切った背景には、通信業界特有の事情に加え、全社的な業務効率化と新規事業創出の必要性という複合的な課題が存在します。

AI導入に至る背景

①通信事業の構造変化と競争の激化

通信業界はサービスが成熟し、料金競争が激化しています。
その中で、ドコモはdポイントやd払いなどに代表される非通信領域(スマートライフ領域)を強化し、収益基盤を多様化させる必要に迫られています。
AIは、この非通信分野においてパーソナライズされたサービスを提供したり、業務プロセスを効率化・高度化したりすることを迅速に創出するための基盤技術として欠かせません。

②深刻な労働力不足と業務負荷の増大

少子高齢化が進む日本では、ドコモグループでも労働力不足が大きな課題です。
特に、膨大な数の顧客を抱えるコールセンター業務は、オペレーターの採用・育成コストや、複雑化する問い合わせ対応による負荷が増大していました。
AIによる自動応対(AI電話)や、オペレーター支援(カスタマーハラスメント対策含む)は、この業務負荷を劇的に削減し、年間数十億円規模のコストダウンと労働環境改善に直結する重要な手段として捉えられています。

③全社的なDXの遅れと生産性向上への要求

通信事業の巨大な組織において、定型的なホワイトカラー業務の生産性向上は長年の課題でした。
生成AIは、マニュアル検索、資料作成、プログラミング、会議の要約といった業務を劇的に効率化する可能性を秘めています。
全社的なDXを加速し、従業員の創造的な業務へのシフトを実現するため、AI技術の横断的な導入が必須となりました。

このような背景から、NTTdocomoにおいてもAI導入は重要視され始めました。とはいえ、AI導入には課題や懸念点もあります。特に、多くの顧客情報を扱うドコモでは、以下のような独自の課題感も存在します。

AI導入に至る課題

①専門知識への対応と情報の信頼性

生成AIは汎用的な知識には強いものの、ドコモの社外秘の業務情報や独自の専門知識(約款、システムマニュアルなど)は学習していません。そのため、これらの知識が必要な質問に対しては、AIが不正確な情報(ハルシネーション)を出力するリスクがありました。

②セキュリティと倫理的なリスク

AI導入に関しては、機密情報や個人情報をAIに入力した場合の情報漏洩リスクや、AIが差別的な表現や社会規範に反する内容を生成する倫理的な懸念もありました。特に大規模な企業であるほど、このリスク管理は重要です。

③AI人材の育成と活用文化の醸成

AIツールを導入しても、社員側にそれを使いこなすためのAIリテラシーやスキルが不足していれば、効果は限定的になります。また、技術部門と現場部門の間で活用アイデアやノウハウを共有する企業文化の変革も必要となります。

これらの背景と課題を踏まえ、ドコモは自社開発AIと外部技術を組み合わせた独自のAI基盤戦略を展開しています。特に独自のLLM付加価値基盤を開発することで正確性や信頼性を高めつつ、機微情報フィルタリング機能や、AIの不適切回答をチェックする倫理チェック機能を基盤に組み込み、セキュアな利用環境を構築しています。また、ノーコード生成AIアプリを展開することで、社内のAI利用の民主化と現場主導のDXを推進しています。

ノーコード生成AIアプリ「Node-AI」とは?

引用:https://www.ntt.com/business/sdpf/service/nodeai.html

ノーコード生成AIアプリのNode-AIは、NTTドコモビジネス社が提供するノーコードAIモデル開発ツールです。

プログラミングの専門知識がない現場の担当者やビジネスユーザーでも、Webブラウザ上の直感的な操作(ドラッグ&ドロップでモジュールを接続)だけで、データ分析からAIモデルの構築や評価、システム連携までの一連のプロセスを実行できるように設計されています。

①時系列データに特化したAI開発

Node-AIは、センサーデータ、売上データ、IoTデータといった時系列データの分析に特化しています。
これにより、以下のような産業現場の具体的な課題解決に活用できます。

  • 予測:設備の未来予測、製品の需要予測(フードロス削減のための発注量最適化など)、収穫量予測。
  • 異常検知:製造現場やインフラ設備での故障予知・異常検知(例:センサーデータから設備の異常を早期に検出)。
  • 要因分析:AIモデルの予測結果や異常の原因となった要因を可視化し、迅速な意思決定や品質改善に役立てる。

②容易なシステム連携

作成したAIモデルを推論APIや学習APIとして公開する機能があります。

これにより、AIモデルを既存の業務システムやIoTプラットフォームに組み込むのが容易になり、例えば「製造現場の複数設備に予知保全モデルを効率的に展開する」といった、AIのビジネス活用を加速させます。

③ノーコードによるAI開発の民主化

引用:https://www.ntt.com/business/sdpf/service/nodeai.html

従来のAI開発につきものの煩雑な前処理(欠損値補間、移動平均処理など)やパラメータ設定を、直感的なインターフェース上でカード(モジュール)を繋げるだけで実行できます。これにより、データサイエンティストでなくても、現場の知見を活かしたAIモデルを短期間で作成し、継続的に改善できます。 

④チームでのコラボレーション機能

引用:https://www.ntt.com/business/sdpf/service/nodeai.html

開発ツール内でコメントやテキスト機能を活用できるため、データ分析者と現場の運用担当者などの関係者がツール上で意見交換や議論をスムーズに行うことができ、カスタムメイドAIの迅速な開発と現場への適用を促進します。このような特徴・機能をもとに、Node-AIは特に製造業のSmart Factoryの実現や小売業の在庫最適化など、データ活用による業務の高度化を目指す企業にとって、DXを推進する重要なツールとなっています。 

NTTdocomoのNode-AI導入までの流れ

 Node-AIは、主に製造業などの時系列データを活用した課題解決を目的としており、導入から実運用までは、顧客企業がAIを自走して活用できるようになるための伴走型支援を含む段階的なプロセスで進められます。

このプロセスは、AI導入における一般的な障壁である「専門知識の不足」と「効果の見極めの難しさ」を解消し、現場主導のDXを早期に実現するために設計されています。

①課題の明確化と実現性の検証(PoCフェーズ)

この初期段階では、AI導入の目的を明確にし、技術的な適合性とビジネス効果の有無を無償で評価します。この段階を経ることで、多額の初期投資を行う前に、AI導入による具体的な効果を予測できます。

②モデルの実用化と現場への実装フェーズ

PoCで可能性が確認された後、AIモデルを実際の業務に耐えうるレベルまで磨き上げ、現場に組み込みます。

③本番導入と自走(運用)フェーズ

この段階的な導入プロセスは、高度なスキルを持たない現場担当者でもAIモデルの開発・改善サイクルを回せるようにすることで、ドコモグループが推進する「AI活用の民主化」戦略を体現しています。導入後も、NTTドコモビジネスは、データ分析の座学や課題解決の伴走支援を通じて、顧客企業内のデータ活用人材を育成します。

これにより、AIモデルの改善や新たな課題への適用を顧客自身で継続的に行える「自走型DX」の実現を目指します。

NTTdocomoのNode-AI活用事例および効果

NTTドコモは、AIを多岐にわたって活用し、業務効率化と新規事業創出の両面でDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。その中でもNode-AI導入による効果は、主にコスト削減や業務の高度化、新規ビジネスの創出などの領域で具体的に現れています。 

①コスト削減と業務効率化

AI導入は、特に定型業務や負荷の高い業務を代替することで、直接的なコスト削減と従業員体験の向上をもたらしています。

・コールセンター業務の負荷軽減

AIによる自動応対(AI電話)を導入し、オペレーターが担っていた業務の一部を代替することで、年間約9億円のコスト削減効果が見込まれています。また、生成AIが顧客の感情を分析し、カスハラ(カスタマーハラスメント)対策や適切な応答案をリアルタイムで提供することで、オペレーターの精神的負担を軽減し、応対品質を安定させています。

・ホワイトカラー業務の生産性向上

全社員向けの生成AIプラットフォームにより、資料作成や要約、プログラミング、マニュアル検索などの時間が大幅に短縮され、業務の生産性が向上しました。

・労働時間の削減

Node-AIを活用した環境データ予測の事例では、休日出勤が不要になるなど、年間数百時間の労務時間削減と人件費の低減に成功しています。

②業務の高度化と品質・安定性の向上

AIは、人の経験や感覚に頼っていた部分をデータに基づいて代替し、業務の質そのものを高めています。

・予知保全による設備安定稼働

NTTdocomoでは、Node-AIにより製造業やインフラ設備においてセンサーデータから部品の劣化を予測するAIモデルを構築しています。故障する前にメンテナンスを行う予知保全が可能となり、設備の稼働率と安定性が向上しました。

・意思決定の質の向上(需要予測)

小売業・食品産業では、Node-AIによる高精度な需要予測に基づき、発注量や生産計画を最適化しています。これにより、フードロス(食品廃棄)コストが削減され、在庫管理の精度が大幅に向上しました。

③組織能力の向上と新規ビジネス創出

AIを基盤技術として活用することで、組織全体の変革と将来的な収益基盤の強化につながっています。

・AI活用の民主化

プログラミング知識を必要としないノーコードAIツールや、全社員向けのAIプラットフォームを提供することで、現場の知識とAI技術を結びつけ、AI活用人材を全社的に育成しています。IT部門を介さずに現場主導で課題解決ができる自走可能な組織へと変革しています。 

・新規事業・付加価値サービスの創出

生成AIによる技術は、コミュニケーションAIやスマートシティ、産業DXなど、非通信分野における新たな付加価値サービスを迅速に開発・提供するための基盤となり、ドコモグループの収益基盤の多様化を支えています。

NTTdocomoの具体的なNode-AI活用事例

 NTTドコモは、AIを多岐にわたって活用し、業務効率化と新規事業創出の両面でDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。中でもNode-AIを活用した事例としては以下が挙げられます。 

①製造業・インフラの予知保全

設備の故障予知

工場やプラントのセンサーデータをNode-AIで分析し、部品の劣化度合いを予測するAIモデルを構築します。これにより、突発的な故障前の最適なタイミングで部品交換を行う予知保全を実現し、コスト削減と稼働率向上に貢献しています。

環境データ予測

産業廃棄物処理業などにおいて、水質のpH値などの環境データをAIが予測し、監視業務の一部を代替します。これにより、現場担当者の労務時間を大幅に削減しています。 

②小売業・食品産業の需要予測

フードロス削減

小売店や食品工場で、過去の販売実績や季節性といった時系列データから未来の需要量を予測するAIモデルをNode-AIで構築します。その結果AI予測に基づいた発注・生産計画により、食品廃棄コストを削減し、在庫を最適化しています。

これらの事例から、NTTドコモのAI活用戦略は、高度な技術を自社で開発しつつ、それをノーコードツールで現場に浸透させることで、組織全体の生産性と競争力を高めていることがわかります。

企業におけるノーコード生成AIアプリの今後の展望

企業におけるノーコード生成AIアプリの今後の展望は、AI活用の民主化や専門業務の高度化、ビジネス価値の創出の高速化の三つを軸に、ますます拡大していくと見られています。

①AI活用の「民主化」と市民開発者の拡大

最も大きな展望は、AI開発のハードルが下がり、企業全体でAI活用が一般化することです。ノーコードプラットフォームが進化することで、プログラミング経験のないビジネスユーザーが、自身の業務知識に基づいて生成AIアプリを開発できるようになります。
これにより、IT部門を介さずに、現場の課題に即したツールを迅速に生み出すことが可能になります。
また、業務のボトルネックを知る現場社員が、自身でAIを活用した解決策を実装し、課題発見からAIアプリ作成、効果検証までのサイクルを高速で回せるようになります。AIが一部の専門家だけのものではなくなり、組織全体の生産性向上に直結を目指します。

②専門業務の「高度化」と特化型AIの進化

ノーコード生成AIは、汎用的な業務だけでなく、特定の専門性の高い業務の質を向上させます。企業が持つ社内データや専門マニュアルなどを参照させるRAG(検索拡張生成)機能が強化され、これによりノーコードで開発されたAIアプリが専門分野における質問応答や文書作成の精度を飛躍的に高めることが期待されます。
一般的なLLM(大規模言語モデル)をベースにしつつも、特定の業界や職種のワークフローに特化したノーコードテンプレートが充実することで、現場のニーズに合致したすぐに使える高度な業務支援AIが広く普及し、熟練者のノウハウ継承や標準化にも貢献します。

③ビジネス価値創出の「高速化」

アプリ開発のスピードが上がることで、市場の変化への対応力と競争力が向上します。
新しいアイデアを検証し、AI機能を組み込んだサービスやツールとして市場に投入するまでの時間が大幅に短縮されるため、競合他社に先駆けて顧客ニーズに応じたソリューションを提供することが可能になります。これらの展望から、ノーコード生成AIアプリは、企業が競争力を維持し、将来的に成長するための戦略的なコア技術となることが予測されています。

まとめ

NTTdocomoのAI導入は、単なるツールの導入ではなく、組織の文化と人材を変革し、AIを永続的な成長エンジンに変えることを目的としています。

中でも自社開発したノーコード生成AIアプリのNode-AIは、NTTdocomoの優位性を活かしつつ、現場の力を引き出し、AIを全社的なインフラとして定着させる戦略的モデルを示しています。

これにより、既存事業の効率化と新規事業の創出を両立し、持続的な成長に向けた強固な基盤を築いています。

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